陸上のダイヤモンドリーグ最終戦のバンダム記念大会が9月7日、ベルギーの首都ブリュッセルで開催される。ロンドン五輪金メダリストが8人、メダリストは25人が出場。各種目でオリンピックさながらの激闘が繰り広げられる。男子200メートルや110メートル障害、3000メートル障害などでは世界記録も期待できそう。前戦のチューリッヒ大会で17種目、今大会で15種目が年間最終戦になり各種目のツアーチャンピオンが決定する。賞金4万ドルがかかっているだけに熾烈な争いが繰り広げられそうだ。

 男子短距離の2強、ウサイン・ボルト(26=ジャマイカ)とヨハン・ブレーク(22=ジャマイカ)は、ともに五輪後3戦目ですべて同じ試合に出場しているが、今回も別々の種目を走る。「ウサインと同じレースを走りたいけど、判断は代理人に任せている」とブレーク。敗れて商品価値を下げるより、別々のレースでそれぞれが能力の高さを発揮した方が良いという代理人の判断だろう。

 ボルトは100メートルにエントリーした。五輪銅メダルのジャスティン・ガトリン(30=アメリカ)も、同4位のタイソン・ゲイ(30=アメリカ)も出場しない。勝ってツアーチャンピオンにも輝くだろう。五輪後の試合は2試合とも200メートルだったが、世界記録を狙える状態ではなかった。今大会も昨年自身がマークした9秒76のスタジアム記録更新が目標になりそうだ。

 200メートルに出場するブレークの方が記録的な期待が高い。昨年は今大会で19秒26の世界歴代2位を出し、ボルトの世界記録に0・07秒と迫った。今季は100メートルの方で、ロンドン五輪後のローザンヌ大会で9秒69の世界歴代2位をマークした。五輪よりもダイヤモンドリーグで記録を上げられるのがブレークの特徴。さすがにボルトの記録は壁が高いが、気象条件が良ければ世界記録更新もないとは言い切れない。

 世界記録に最も近いと言われているのが110メートル障害のアリエス・メリット(27=アメリカ)だ。ロンドン五輪の12秒92を筆頭に、6月30日から1カ月ちょっとの間に7回も12秒台をマーク。1シーズンの12秒台の回数としては過去最多タイである。しかもロンドン五輪の記録は向かい風のなかで出した。12秒87の世界記録更新が近づいている。

 男子3000メートル障害は昨年世界記録に0・01秒と迫ったブリミン・キプルト(27=ケニア)と、今季0・68秒まで近づいたポール・コエチ(30=ケニア)の2人が走る。世界記録はいつ出てもおかしくない。

 ◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル~8位1000ドル)。各大会のポイント合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。