<陸上:全日本実業団対抗>◇初日◇21日◇福岡・博多の森陸上競技場

 男子1万メートルには元祖“山の神”の今井正人(28=トヨタ自動車九州)も出場し、28分29秒29で12位(日本人5位)とまずまずの走りを見せた。この種目は3組行われて記録の比較で順位をつけるタイムレース。有力選手は3組に集中したが今井は2組日本人1位の快走で、3組の選手と遜色ないタイムをマークした。

 箱根駅伝5区で快走を見せてから6年、28歳となった。ロンドン五輪をマラソンで狙ったが、3月のびわ湖マラソンでは精神的な力みもあったのか42位と大敗した。同じレースで日本人2位となった中本健太郎(29=安川電機)がロンドン五輪で6位入賞。同じ福岡県を拠点とするチームの選手で年齢も近い。「走りたかったし、テレビで見ていて悔しかった。色々な思いがありました。中本さんはしっかりと準備をされて、レース後には『自分の練習は間違っていなかった』と話していました。対抗できる練習が何かを考えて、身につけていきたい。それが何かを見つけるために今やっています」

 この日の1万メートルは自己2番目の記録。中盤で自ら仕掛け、いったん追いつかれたが最後にスパートして振り切った。「今日のような走りをしていきたい」と自己評価ができる内容だった。「でも、追いつかれたところでもっと行けるようにしたい」とさらに上を向いている。

 次のマラソンは未定だが、来年のモスクワ世界陸上は「やるからにはもちろん狙っています」。冬の選考会で再びマラソンを走る姿を見られそうだ。でも「肩の力を抜いてやりますよ」と、ロンドン五輪選考会での教訓を忘れていない。