<岐阜国体:陸上>◇最終日◇9日◇岐阜長良川競技場

 ロンドン五輪の4×100メートルリレーで第1走者を務めた土井杏南(17=埼玉栄高)が、今回は埼玉県チームのアンカーで登場した。後方の混戦のなかでバトンを受けて先頭を追ったが、届かず4位に終わった。優勝は鹿児島で45秒86。埼玉は46秒01だった。

 土井は「抜かないといけない差でした。(負けたのは)自分の責任です」と自身を責めた。

 中学新を出した一昨年は、ケガで国体メンバーに入れなかった。昨年は少年B100メートルで優勝したが、ともに世界陸上出場経験のある石田智子(35=長谷川体育施設)と高橋萌木子(23=富士通)がリレーチームを引っ張り、16歳だった土井はお姉さん選手たちについていくだけだった。そのリレーは準決勝でバトンミスがあって敗退した。

 今大会は直前に、同じロンドン五輪代表だった高橋が欠場を決めた。9月の全日本実業団で引退した石田が急きょ埼玉県チームに加わったが、「脚の感覚がない」(石田)という状態で多くは期待できない。五輪では陸上競技戦後最年少出場だった土井にエースの役割が求められた。

 高橋や、やり投げのディーン元気(20=早大)が欠場したように、五輪代表選手たちのコンディションが万全でないのは仕方がない。本人は「ロンドン五輪の疲れはありません」と否定するが、土井も100パーセントの状態でないのは明らかだ。

 チームとしても、長年中心選手だった高橋の離脱は痛い。その状況でも土井は少年A100メートルに優勝し、自身の走りと持ち前の明るさでチームを引っ張った。「本当に悔しいです。もっと頑張らないといけません」

 反省の弁ばかりが口をついて出るのは、この1年間の経験で土井の見ているところが高まった結果だろう。今後は、来年の世界陸上モスクワ大会で個人種目での出場を目指す。

 年齢は一つ変わっただけだが、大きく成長した土井の姿が見られた国体だった