<陸上:日本グランプリシリーズ第4戦・静岡国際兼世界選手権代表選考会>◇3日◇静岡スタジアム(エコパ)

 男子400メートル障害は日本育ちのブラジル人、杉町マハウ(28=日本ウェルネス)が48秒79の好記録で優勝した。

 3組に出場した杉町は大きなストライドで先行し、後半も2011年世界陸上代表だった今関雄太(25=渋谷幕張高教)の追い上げを許さずに逃げ切った。4組で2005年世界陸上金メダリストのバーショーン・ジャクソン(29=米国)がトップでフィニッシュしたが0・83秒上回った。「タイムを出せたので気持ち的に楽になりました。昨年の反省から、ハードルを跳ぶ練習を早めに始めたのがよかったのかもしれません」。

 昨年は五輪A標準を突破し、ブラジル選手権にも優勝した。日本の選考基準ならば代表入りできたが、ブラジル陸連が設定した派遣設定記録に0・06秒届かず2大会連続五輪代表入りを逃した。

 直後は「悔しさ?虚しさ?パニック?」(本人WEBサイト)という感情から進む道に迷ったが、自身を支えてくれる人たちへの感謝の気持ちに気がついた。「リオデジャネイロ・オリンピックまでは現役を続けます!」(同)。

 シーズン初頭に自己記録へ0・12秒まで迫ったことからも、昨年とは明らかに違う。また、ハードル間を5台目まで12歩で走る選手は世界でも少ない。その武器を生かして48秒前後までタイムを縮められれば、モスクワ世界陸上で決勝進出も望める。

 ブラジルと日本の架け橋的存在の杉町が、リオ五輪に向けて最高のスタートを切った。