<陸上:全日本実業団対抗選手権>◇第1日◇20日◇埼玉・熊谷スポーツ公園陸上競技場◇男女1万メートル決勝(タイムレース)

 柏原竜二(24=富士通)が今季前半の不調から脱出した。3組タイムレースで行われた男子1万メートルで、最も強い選手が集まった3組目に出場。レース前半はアフリカ勢に食い下がる積極性を見せ、中盤からは後退したが28分46秒73で日本人5位(全体で11位)と粘った。「タイムはまだまだですが、シーズン前半に比べると走れるようになった」とホッとした表情を見せた。

 3月は陸連合宿で、モスクワ世界陸上1万メートル代表になった宇賀地強(26=コニカミノルタ)らと追い込んだ練習ができたが、4月からのトラックレースでは鳴かず飛ばず。6月の日本選手権1万メートルは24位。元々トラックは得意ではなかったが、“山の神”の面影はなくなっていた。

 「3月は引っ張られて力以上のことができてしまった。ただガムシャラに練習しただけですね。その結果疲労が出てしまい、3カ月間まったく走れませんでした」

 夏の前半も状態は上がらなかったが、8月に入って「腰の前後の動きを利用した良いときの動きが戻ってきた」(福嶋正監督)。

 柏原も「練習の感じからすると、今日はもう少し行けると思ったのですが、前半戦のズレは1つずつ修正できている。ここからもっと良くなっていくと思う」と、駅伝シーズンに向けて手応えを得られた。

 昨年の富士通入社時にリオ五輪はマラソンで狙うと宣言。福嶋監督は「10月の練習の状態が良ければ」と条件付きながら、この冬の初マラソン挑戦プランを描いていることを明かした。