<東京国体:陸上>◇6日◇味の素スタジアム

 成年男子走り高跳びは衛藤昂(22=筑波大、三重)が、ただひとり大会タイ記録の2メートル27をクリアして優勝。5月に跳んだ自己記録を1センチ上回った。

 「今日は2メートル30を跳びたかったので、2メートル15から跳び始めて、5本目で2メートル27に成功しました。そこまでは思い描いた通りの展開でした」。

 戸辺直人(21=筑波大、千葉)と高張広海(25=日立ICT、神奈川)が2メートル27を跳べず、衛藤が今季初の全国優勝を達成した。

 衛藤は自身のことを「シルバーコレクター」と自嘲気味に話す。日本選手権は2年連続2位。今年は9月の日本インカレも戸辺に敗れて2位だった。「日本インカレは今までに感じたことのない悔しさでした。2メートル25と自分の力を出して負けてしまったので。2位では記事にもまったく載りません。国体では絶対にやってやる、と思って1カ月練習してきました」。

 休みを取らずに練習を再開し、走る練習とウエイトトレーニングを見直して再強化を図ってきた。日本インカレから1カ月しか経っていないが、2メートル30を狙える手応えも得て国体に臨んでいた。

 だが、「世界で戦うのに必要な記録」と位置づけていた2メートル30は3回とも失敗。「2メートル27とそれほど違わないはずが、10ケタの数字が1つ変わるだけで違いを感じてしまいました。今日勝ったのがゴールではなく、世界で戦うためのスタートとしなければいけません」。

 日本記録(2メートル33)保持者の醍醐直幸(33=ニューモード、東京)が最後に2メートル30を跳んだのが2007年。その醍醐が一線を退く大会で、衛藤が日本人5人目の大台突破に名乗りを上げた。