<陸上:ボストン・マラソン>◇18日◇米ボストン

 115回目を迎えた伝統のボストンマラソンが行われ、「世界最速」記録が飛び出した。男子でジョフリー・ムタイ(29=ケニア)が2時間3分2秒で初優勝し、非公認ながらゲブレシラシエ(エチオピア)が持つ2時間3分59秒の世界記録を大きく上回った。

 1万メートルで世界選手権銅メダルのモソップ(ケニア)と前半からレースを引っ張り、25キロを1時間13分16秒のハイペースで通過。下り坂の多い高速コースに加え、追い風も記録を後押し。3月の世界クロカン5位という自慢のスピードは最後まで衰えず、同郷のモソップを4秒差で振り切った。その掲示タイムは「皇帝」を57秒も超えるものだった。

 ただしボストンは国際陸連の記録公認の条件を満たしていないコースのため、世界記録にはならない。それでも世界最速記録で5万ドル、大会記録で2万5000ドル、優勝賞金1万5000ドルの合計9万ドル(約765万円)を獲得。G・ムタイは「人々の頭の中には刻み込まれたはずだ」と笑った。07年の初マラソンから着実に力をつけ、昨年のロッテルダムは2時間4分55秒。「誰かと競り合うとペースを制御できなくなるんだ」と誇らしげ。8月の世界選手権(韓国・大邱)へ、大きなステップを踏んだ。

 ◆記録公認には

 国際陸連では2004年からロードレースの記録公認の条件として、スタートとゴールの直線距離をレース総距離の半分以下に収めることを求めている。42・195キロのマラソンの場合は21・0975キロ以内でなければ記録は公認されない。片道コースのボストンは主催者によると発着点の直線距離は総距離の91%になるため、公認の対象外となる。東京マラソンも片道コースだが、公認の条件を満たしている。