<陸上:日本選手権>◇2日目◇11日◇埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

 女子100メートルで日本記録保持者の福島千里(22=北海道ハイテクAC)が、11秒39で2年連続3度目の優勝を果たし、2度目の世界選手権(8月、韓国・大邱)代表の切符を手にした。今季前半戦は4月の織田記念国際の同種目決勝を左足けいれんで棄権するなど不本意なレースが続いたが、大舞台できっちり復活した。これで同種目に限れば約4年間、決勝を走ったレースでは日本選手に負けていない。今日12日、同200メートル決勝で初の2冠に挑戦する。

 福島の顔には、今季初めて100メートルをしっかり走り切った安堵(あんど)の表情が広がっていた。昨年10月の千葉国体でA標準(11秒29)を突破する11秒26で優勝しており、この日の勝利で世界選手権代表をたぐり寄せた。「今年のベストだったので良かった。これがきっかけですっきりすればいいかな」と世界への再スタートを切った。

 織田記念国際決勝を棄権し、5月の川崎ゴールデンGP同種目(4位)の決勝でもゴール前で左足の違和感を覚え失速。2戦が終わった後、指導する中村宏之監督(66)の自宅を訪ね、内に秘める思いを初めてぶつけた。自身で解決することが多かった福島にとって異例の行動だった。「普通に走ることは普通なこと。でもそれが難しい」と禅問答のように繰り返した福島。今日12日の200メートル決勝で昨年2位のリベンジを果たし、2種目での代表入りを目指す。「狙っていきたい」と初の2冠を見据えた。【松末守司】