<北海道マラソン>◇26日◇札幌市大通公園発着

 「団体で金」だっていける!

 公務員ランナーの川内優輝(25=埼玉県庁)が、男子マラソン界の復活を確信した。

 2時間18分38秒と優勝タイムは平凡だったものの、30度以上の暑さに「タイムは気にせず、勝つことに徹しました」と意に介さなかった。25キロ地点でスパートし、後続を3分以上引き離した。

 暑い…、いや熱い思いも止まらなかった。ゴール後に倒れ込むいつもの姿はなく、少しよろけてコーン標識を倒したくらい。ペットボトルの空気まで吸い尽くす勢いで水を計3リットル飲み干し、最後は公園管理用にまかれていた散水のシャワーを全身に浴びると復活。とたんにいつものマシンガントークが戻った。

 「チームジャパンで切磋琢磨(せっさたくま)できれば!

 団体でもう1度、表彰台に上がりたい!

 銀が金になる可能性だってあります!」。水と汗にぬれたウエア姿でまくしたてた。

 ロンドン五輪では藤原が45位、山本は40位、最上位は中本の6位。低迷続くかと思いきや、川内の見立ては違う。「日本人だってまだまだやれる」。だから「団体で金」。世界陸上のマラソンと同時開催され、各国上位3選手の合計タイムで争う団体戦「マラソン・ワールドカップ」。11年大会は銀だったが、13年モスクワ大会で頂点を狙う。

 五輪レースは奥日光での合宿中にテレビ観戦した。金確実と思われたケニア勢の低迷に「米国、ブラジル選手が挑発的に仕掛けたら崩れた。完璧じゃない」。中本の6位に「日本人だって粘れば…」。夏でも寒いモスクワに「日本人は暑い方がいいと言われますが、僕は寒い方が有利と思う。逆にケニアは寒さがダメ」。どこまでも前向きだ。

 選考レースの2時間8分切りで、世界陸上代表に決まる。今後も毎週のように試合出場し、照準は12月の福岡国際マラソン。「2時間7分台を出す。そして世界陸上で日の丸をメーンポールに掲げます!」。残暑厳しい北海道で、最後まで熱かった。【阿部健吾】

 ◆マラソン・ワールドカップ

 99年世界陸上セビリア大会から創設。男女とも上位3選手の合計タイムで順位決定。世界選手権のメダル獲得数には加算されない。日本は99年から7大会連続でメダルを獲得。03~07年は3大会連続1位。韓国・大邱で行われた11年大会では、堀端宏行(7位)中本健太郎(10位)川内優輝(18位)でケニアに次ぐ銀メダルを獲得。

 ◆13年世界陸上の男子マラソン(M)代表選考方法

 2時間7分59秒が派遣設定記録。3レースの国内選考会で設定記録を破り、日本人1位なら代表に決まる。12年福岡国際M、13年東京M、13年びわ湖毎日Mが対象。ベルリン、ロンドンなど海外主要5大会も対象とし、設定記録を破れば代表候補となる。条件を満たした選手がいない場合は、3レースに13年別府大分毎日Mを加えた各大会の日本人3位以内から選考する。代表は5人。