<陸上:出雲駅伝>◇6区間(スタート:出雲大社正面鳥居前~ゴール:出雲ドーム前、44・5キロ)◇8日◇島根・出雲市

 伏兵・青学大が、2時間9分41秒の大会新記録で初優勝した。3区・久保田和真(1年)の快走でトップに立つと、4区・大谷遼太郎(4年)も区間新記録の激走。最後は大黒柱・出岐雄大(4年)がリードを守り切り、全日本、箱根を合わせた3大駅伝で初のタイトルを手にした。連覇を狙った東洋大は2位、エース大迫傑(3年)の失速が響いた早大は6位だった。

 新たな歴史が、出雲路に刻まれた。若さあふれる「新緑軍団」青学大が躍動した。1区・小椋(1年)がトップの中大から7秒差でつなぎ、2区・藤川(2年)が2位へ浮上。3区・久保田が力強い走りで首位に躍り出た。下級生に刺激され、後半は上級生が奮闘した。4区・大谷が区間新記録をマークし、福田(3年)、出岐も独走。2年前に3冠を達成した早大の記録を24秒短縮する大会新記録で、初優勝を飾った。

 近年は東洋大、早大、駒大の3強時代。そこへ新たな風が吹いた。「こいつら、強いんですね。ボクが思っている以上に」。就任9年目の原監督は、明るく笑った。誘われ、04年に実業団の中国電力から転職。「私自身(中京大OBで)箱根を走っていないし、五輪も世界選手権も出ていない。信じてついてきてくれるか悩んだ」と言うが、5年目の08年冬に33年ぶりの箱根へ導いた。そこから風向きは変わった。

 地道な強化が実を結び、今年1月の箱根で5位へと躍進した。歩調を合わせるように3月には神奈川・相模原キャンパスにトラック、6月にはクロカンコースも完成。チームが「新しい青学の挑戦」を掲げる年に、ついに3大駅伝で初めてタイトルを手にした。今季は出岐、福田ら主力に故障があり、6月の全日本予選はまさかの敗退。嫌なムードを出雲で吹き払った。「チームに迷惑ばかりかけた。だから最高にうれしい」と出岐。1月の箱根へ、青学大が台風の目となりそうだ。【佐藤隆志】

 ◆区間賞

 ▼1区(8キロ)

 代田修平(中大)23分29秒▼2区(5・8キロ)

 田中秀幸(順大)16分50秒▼3区(7・9キロ)

 久保田和真(青学大)23分13秒▼4区(6・2キロ)

 大谷遼太郎(青学大)17分50秒=区間新▼5区(6・4キロ)

 高久龍(東洋大)18分11秒=区間新▼6区(10・2キロ)

 オムワンバ(山梨学院大)29分23秒