<陸上:日本選手権20キロ競歩>◇17日◇神戸市六甲アイランド甲南大周辺コース

 男子は鈴木雄介(富士通)が1時間19分2秒の日本新記録で2大会ぶり2度目の優勝を果たした。日本陸連が定める派遣設定記録(1時間20分16秒)以内で優勝の条件を満たし、代表を決めた。従来の日本記録は柳沢哲が00年に出した1時間19分29秒。女子は同五輪代表の大利久美(富士通)が1時間30分45秒で3連覇したが、派遣設定記録(1時間29分31秒)に届かなかった。

 順大時代から「3年間かかった」挑戦が結実した。男子の鈴木が13年ぶりに日本記録を塗り替える快挙でモスクワ行きの切符を手にした。「大学4年から狙っていて、記録を出す機会を待っていた。うれしい」と達成感に浸った。

 36位と惨敗した昨年のロンドン五輪後、スタミナ強化を徹底した。この日は序盤から西塔と一騎打ちになったが、課題だった後半に抜け出し、終盤も差を広げた。大会前の「以前はいっぱいいっぱいだったが、今は気持ち、体に余裕を持てている」との言葉を、日本記録を27秒更新するタイムで実証した。

 世界との勝負へ、弾みをつけた。「この記録はメダルを狙うための最低限のタイム。モスクワでは、ラストに対応していかないといけない」と課題を挙げつつも「記録に自信を持ってメダルを取りたい」と力強く話していた。

 ◆鈴木雄介

 すずき・ゆうすけ。1988年(昭63)1月2日生まれ、石川県能美市出身。小松高-順大。05年世界ユース1万メートル銅メダル、11年世界選手権20キロで8位。昨年のロンドン五輪の20キロは1時間23分53秒で36位。169センチ、57キロ。