男子100メートルで10秒01のジュニア世界タイ記録を持つ桐生祥秀(よしひで=京都・洛南高3年)が今日5日、モンゴロイド(黄色人種)初の9秒台を狙う。セイコーゴールデングランプリ東京(国立競技場)を翌日に控えた4日、決戦の地で最終調整。空を飛ぶような走りをイメージしたオリジナルサインを披露した。「織田(記念国際)よりいいタイムを出したい」と話し、9秒台に照準。17歳が黄色人種で初めて10秒の壁を突破する。

 17歳のスプリンターが、黒人、白人に続くモンゴロイドの夢を背負って疾走する。桐生は「陸上を始めた時から、日本で戦う、世界で戦うことが目標だった。一番の憧れであるウサイン・ボルトと一緒に走りたいです」。68年にジム・ハインズ(米国)が人類初の9秒台を記録して45年。ボルトとの対決実現に向けて、まずは黄色人種で初めて10秒台の壁を突破する。

 もう誰も夢物語だとは思わない。4月29日織田記念国際(広島)で日本歴代2位、ジュニア世界タイ記録の10秒01を記録した。初のシニア大会で自己ベストを0秒18も短縮。今回は初の国際大会で海外の選手と走る。「外国人選手と走るのは初めてなので緊張や不安よりもわくわくして。一緒に走るのが光栄で楽しみ」。同走する9秒台スプリンター3人に刺激されれば、再び大爆発も視野に入る。

 上下動の少ないフォームで、地面スレスレを飛ぶように走る。追求する理想のフォームは、初披露したオリジナルサインにも表れた。この日、国立競技場の入り口に設置された大会パネルにサインを書き込んだ。左上に飛ぶスプリンターが入る。「走っている感じですね。高校2年の時に(学校の)休み時間に遊びで考えました」とにっこりだ。

 10秒01の衝撃から中5日。記録更新の手応えはある。織田記念の映像は何度も何度もチェックした。「予選と決勝を見て前半、中盤はいいが、後半が足が流れた。ゴールを意識しすぎて、ラスト10メートルで減速した。ゴール付近を通過する気持ちで走りたい。まっすぐ(レーンを)みることが一番。織田よりいいタイムを出したい。リラックスして楽しく走るといい記録が出る」と決意表明。17歳が、日本人の夢をかなえて「モンゴロイド最速」の称号を手にする。【益田一弘】

 ◆桐生祥秀(きりゅう・よしひで)1995年(平7)12月15日、滋賀県彦根市生まれ。城陽小学校ではサッカーのGK。彦根南中学から陸上を始める。中学3年時に200メートルの全国2位になって洛南高に進学。昨年11月にユース世界最高の10秒19をマーク。4月29日織田記念国際でジュニア世界タイ、日本歴代2位の10秒01を記録した。175センチ、68キロ。<観戦ガイド(国立競技場、当日券あります)>◆日時

 5月5日(日)午前9時30分開場、同10時30分サブイベント開始、午後0時35分競技開始◆会場

 国立競技場◆交通

 都営大江戸線国立競技場駅、東京メトロ銀座線外苑前駅、JR中央・総武線千駄ケ谷駅、信濃町駅下車◆大会種目▽男子=100メートル、200メートル、800メートル、110メートル障害、400メートル障害、3000メートル障害、棒高跳び、走り幅跳び、やり投げ▽女子=100メートル、5000メートル、100メートル障害、走り高跳び、走り幅跳び、砲丸投げ、やり投げ▽IAAFハンマースローチャレンジ=男子ハンマー投げ◆当日券

 午前9時30分から各入り口ゲートで発売。カテゴリー<1>一般3000円、中高生2000円。同<2>一般1000円、中高生500円。各エリア内自由席。小学生未満無料。◆大会HP

 http://goldengrandprix-japan.com◆TBS系列午後2時~生中継

 世界陸上モスクワ大会の選考会を兼ねたこの大会は、TBS系列で午後2時から午後3時24分まで独占生中継される。注目は、日本人初の9秒台を目指す世界一速い高校生・桐生祥秀やディーン元気などの若い世代の活躍。さらに、海外から参戦するロンドン五輪女子走り高跳びの金メダリスト・チチェロワや女子100メートル障害銅メダリスト・ケリー・ウェルズなど世界陸上モスクワの前哨戦として国立競技場最後の国際陸上大会で激突するなどみどころ満載。また、番組公式ホームページでは、サブトラックの実況つき生配信を実施。