<陸上:セイコーゴールデングランプリ東京>◇5日◇東京・国立競技場

 円熟の技が若い力を再び封じた。男子やり投げの村上幸史(スズキ浜松AC)が、2投目に81メートル16を投げ優勝をさらった。昨年は織田記念、日本選手権でディーン元気(早大)に連敗。今年は85メートル96の日本歴代2位を出した6日前の織田記念と合わせ、この日5位のディーンに連勝だ。「頑張らなくていいので楽です。ディーンとは日本選手権で興奮するような投げ合いをしたい」。09年世界陸上銅メダリストの余裕の弁だ。

 頑張らなくていい-。手抜きではない。中学時代まで剛速球投手としてならした村上らしい、リラックス投法をオフに考えついた。「捕手のミットばかり見ていてノーコン。1度、視線を外し自分の感覚を大事にすると気持ちよく、楽に投げられるようになった」。やりを引いた時、視線を真正面から、やや右に変えた。「視界を遅らせると、やりの残りが全然違うので」と説明。33歳は進化を続けている。