師匠、弟子入りさせてもらいます!

 陸上男子やり投げのディーン元気(21=早大4年)が来春、ミズノへ入社することが決まり23日、都内で同期入社する男子短距離の飯塚翔太(22=中大4年)とともに会見した。同じ投てき種目でミズノ所属の男子ハンマー投げ五輪金メダリスト室伏広治(38)から「鉄人哲学」を吸収する。

 滑舌のいいディーンが、慎重に言葉を選んだ。“その人”について聞かれた時だ。「ボクが中学生の時に(観戦した)大阪国際GPで初めて見ました。その選手が今も投げている。とにかくすごい、あこがれています」。投じたやりの向かう先は室伏だ。

 ミズノを選択した理由は他にもある。「積極的に出たい」と言う海外進出への強力な支援。「特に、やり投げは進歩している」と言う世界記録保持者ゼレズニーも愛用したスパイクの優位性。それ以上にディーンが胸躍らすのは、中京大に練習拠点を移し師匠に腰を据えて向き合うことだ。

 1人は、兵庫・市尼崎高時代から指導を受ける田内健二・中京大投てきコーチ(37)。そして「今年はケガで悩み、練習を継続することの大切さを痛感した」というディーンにとって何よりお手本となる、38歳でなお世界トップ級を維持する室伏の存在だ。

 来年3月には都内から引っ越し、室伏も練習する愛知・豊田市の中京大に練習拠点を移す「職住接近」で、鉄人パワーを学ぶ。「リオで、室伏さんというすごい大先輩と同じ金メダルを取れるように頑張ります」。今年の世界選手権は代表漏れした。ならば3年後、世界の空に室伏に続く、光り輝く2本目の矢を放つ。【渡辺佳彦】