<東京国体:陸上>◇4日◇味の素スタジアム

 9秒台は大学で!

 陸上男子100メートルで日本初の9秒台を狙う桐生祥秀(17=京都・洛南高3年)が“国体3連覇”を達成した。少年男子A(高校2、3年)の決勝で追い風0・1メートルの条件下で10秒22で優勝。高校1年の少年B、同2年の少年Aと合わせて3年連続優勝。来春から日本陸連の土江寛裕短距離副部長(39)が指導する東洋大に進学することを表明して「大学で自己ベストをどんどん更新したい」と宣言した。

 やはり速い。「ジェット桐生」が、同世代のランナーを引き離した。最高気温21度と秋の気配がグッと深まった東京で、2位に0秒29の差をつけた。「この気温でこのタイムは結構いいかなと思う。ただ去年を超えたかったので惜しかった」。昨年自身が記録した大会記録に0秒01及ばないことを、少しだけ悔しがった。

 8月の世界選手権(モスクワ)以来1カ月半ぶりのレース。帰国後は外国人選手の大きなストライドが目に焼きついて「大きいと進んでいいな」と、走りのバランスを崩した。この日の予選は10秒83で2着通過。「1歩目からガタガタ。準決勝にいければいいかなと」。それでも準決勝の10秒42できっちり立て直した。

 「大学で自己ベストをどんどん更新したい。来年は高校3年のタイム(10秒01)は超えていきたい」

 日本初の快挙に向けて、レース後は土江短距離副部長が指導を担当する東洋大に進学することを表明。同大学はNTC(ナショナル・トレーニング・センター)にも近く「成長したいという気持ちがあった」。日本陸連が予定する定期的な短距離陣のリレー合宿に向けて「いろいろなことが聞けるので楽しみ」と心を躍らせている。20年東京五輪に向けた「オールジャパン態勢」の軸として故郷・滋賀を離れて走りを磨く。

 次戦は日本ジュニア選手権(18日開幕、名古屋)の100メートルと200メートルにエントリーしている。高校生・桐生もフィナーレが近づく。「(東京五輪は)全然わからないけど、陸上を続けているならトップを狙いたい。子どものころ、陸上の強い選手を見て、速く走りたいとあこがれた。7年後に自分がそういう存在になっていたらうれしい」。そう声をはずませた。【益田一弘】