<陸上:世界ジュニア選手権>◇第2日◇23日(日本時間24日)◇米オレゴン州ユージン

 男子100メートル決勝で、桐生祥秀(18=東洋大)が同種目で日本勢初のメダルを獲得した。期待された9秒台はならなかったが、10秒34で3位に食い込んだ。優勝は10秒21のケンドル・ウィリアムズ(18)、9秒97の世界ジュニア記録を持つトレイボン・ブロメル(18=ともに米国)は10秒28で2位だった。

 桐生は、控えめに右手を握りしめた。「うれしさもあり、悔しさもあり、という感じ。一応メダルが取れてよかった。大会前から目標の金メダルが取れなくて、少し悔しさもある」。

 準決勝は終盤の失速で3人に抜かれて4着。タイム順で生き残って「やれる時にやるしかない」。決勝は中盤までトップも再び終盤失速。「優勝を狙っていた。準決勝の後半は股関節が痛かった。決勝は両足がつった」。右足裏痛による1カ月半ぶりのレース。急ピッチ調整でスタミナは戻らなかった。

 故障は今年に入ってからの試行錯誤が原因だった。最低6本は必要とされる靴裏のピンを4本にした。土踏まずに合わせてあるべき靴底のアーチをなくし、平らにした。型破りなトライは体に波及した。5月に高校時代の練習に戻したが、かつて使用した6本ピンの25・5センチのスパイクが履けなくなるほど足が変化し、負荷が右足裏にかかった。

 目標の金メダルは逃した。ただブロメルら同世代のライバルと中盤までは互角に渡り合った。「ここから、もっと上を目指したい」。男子100メートルで日本人初めての銅メダルがジェット桐生にとっての出発点だ。