<陸上世界選手権>◇第1日◇10日◇モスクワ・ルジニキスタジアム◇男子100メートル予選

 10日の男子100メートルで桐生祥秀(17=京都・洛南高3年)と山県亮太(21=慶大)が、準決勝進出へともに0秒01及ばない4着で予選敗退した。桐生はゴールで胸を突き出して逆転を許し10秒31、ウサイン・ボルトと同組だった山県はスタートに失敗して10秒21。10秒00の日本記録を持つ日本陸連の伊東浩司短距離部長(43)は、一夜明けて2人の走りを分析した。

 日本人初の9秒台と81年ぶり世界大会決勝進出の夢は0秒01の壁に阻まれた。

 (1)桐生

 スタート反応時間は0秒137で3番目。60メートルまで3番手を走ったが、9レーンのカナダ選手に猛追され最後は胸を突き出した。ラインを駆け抜けることが理想だが、反射的にフィニッシュ体勢に入り逆転。「最後の1、2歩がうまくいけば0秒02は上がった。悔しさしかなかった」。

 伊東部長

 見ていてかわいそうなくらい緊張していたが、よく頑張った。最後はアップアップだったが(その失敗も)経験だろう。

 (2)山県

 スタート反応時間は0秒172と7人中5番目。得意のスタートが鈍って10秒21で4着。各組3着+タイム順で4人が準決勝進出だったが、山県はタイム順で0秒01差の5番目だった。「中盤でいまいちトップスピードに乗り切れなかった。明日(11日)の準決勝、決勝にピークを合わせていた。ふがいないし、すごく情けない」。

 伊東部長

 フライング(ケイマン諸島選手が失格)で動揺があったかもしれない。心だけじゃなくて、体の部分でも。60メートル地点で足を回していくはずだったが、回り切らなかった。

 伊東部長は、陸上界全体の転換期と捉えた。国内では高速トラックを使う4月の織田記念国際(広島)で好記録を狙い1度ピークをつくる。だが世界選手権と五輪は8月だ。「4月の織田で記録を狙うんじゃなくもっと大きなところで勝負、という考え方に移行できるチャンスじゃないか。日本全体で考えないと」と、8月を意識する必要性を説いた。