今回は、今年2月23日に米ラスベガスで開催されたJamz Nationals 2020に初出場をした「Gravis Dance Team Regina」(以下、Regina)です。海外の大会に自己推薦で出場を決めた理由について聞きました。

Reginaは米ラスベガスで開催されたJams Nationals 2020に初出場
Reginaは米ラスベガスで開催されたJams Nationals 2020に初出場

通常、チアダンスの世界大会(World The Summit)には、全国大会のUSA Nationalsで上位3位以内のチームが推薦出場する。しかし、「Jamz Nationals 2020」にはまだ推薦枠がないため、Reginaは自己推薦で初出場することを決めた。

ディレクターの山田里菜さんはその理由を「メンバーひとりひとりが生まれ変わるため。チームとしてイノベーションを起こせるように」と話した。「チームは、もともとさまざまな強豪チーム出身の集まりだった。でも、遠慮の塊。良いものを持っているからこそもったいない」と続けた。“日本代表”として海外大会に出場という責任をメンバーに与えることで、Reginaが「チーム」になる第1歩にしたかった。

メンバーは、意思疎通ができている時の居心地の良さ、そして、その時はパフォーマンスも良いことを知っていた。キャプテンの浅田裕理さんは「コミュニケーション不足は感じていた。言いたいことが言えなかった。それが練習や演技、時間の過ごし方に表れていた。自分たちも変わりたかったし、変わるチャンスをもらった」と話す。

昨年9月末、山田さんがJamz Nationalsの自己推薦についてメンバーに発表した。メンバーのほとんどは、全国大会を勝ち抜き、世界大会に推薦出場した経験者。それが容易でないこと、その責任も知っていた。一方で、世界大会を知らないからこそ、ただ行きたいメンバーもいた。挑戦へのモチベーションもバラバラ。まとまりもなく、チームになるには時間がかかった。山田さんはそんな状態に対して「(米国に)連れて行かない」と言ったこともあった。

ReginaはJams Nationals 2020で記念撮影
ReginaはJams Nationals 2020で記念撮影

Jamz Nationalsの練習に加え、1月中旬には、地区予選のUSA Regionalsも控えていた。両大会に向けた練習を同時進行で行った。山田さんは「多忙をメンバーに課すことで、皆でチームを作らないとやっていけない環境にした」と話した。

自己推薦の発表から始まった話し合いは、12月中旬まで続き、ようやくチームとしての気持ちが1つになった。「行くからには全力でやろう。やるしかない。チームとして技術だけでない内面の成長にもつなげたい。チームのスローガンである“人を応援し、応援されるチアダンスチーム”、その本質も本場アメリカで吸収したかった」と浅田さんは振り返る。

USA Regionalsは、POM部門1位で通過。これが、自信になった。この勢いでJamz Nationalsに挑む-。

そして渡米。大会期間中は、一緒にいる時間も増える。チームの絆を深めるために、山田さんは積極的にコミュニケーションをとらせた。フラフープを使ったゲームや、怒りの度合いを当てていくアンガーマネジメントなども取り入れた。この時間によって「チームとしての変化が見られた。お互いの良いところ、悪いところを理解し合えた」と山田さん。浅田さんは「普段のイメージもあるけれど、ゲームを通して、その人の新たな内面や性格を知ることができた。アクティビティで打ち解けて演技の自信にもつながった」と話した。

ReginaはJams Nationals 2020で2位に入った
ReginaはJams Nationals 2020で2位に入った

大会はPOM部門で2位。浅田さんは「アメリカにチャレンジしたことで、チームは良くなった。お互いを知ることによって変わり、練習の質も向上し、演技の内容も良くなった。でも、今回の挑戦は責任があったし、勝ちたかった。悔しかった」。山田さんは「Regina自身が120%を出しきれた演技ではなかった。チーム一丸となって練習でき、目標に向かって切磋琢磨(せっさたくま)できるチームにはなれた。でも、それを結果にもっていくにはまだまだ。USA Nationalsでリベンジしたい」。

目標は、7月25日予定の全国大会「USA Nationals」で3位以内に入賞し、自己推薦ではなく、推薦で世界大会に行くこと。Reginaの挑戦は続く。

◆Gravis Dance Team Regina 18年創設。町田市、横浜市でチアダンススクールを展開する株式会社グラヴィスが母体のチアダンスチーム。メンバーは大学生から社会人で現在12人。フットサルFリーグ1部のY.S.C.C.横浜でもパフォーマンスを行っている。