先日、大船渡へ再訪した。今年で、もう3年目。

 公益財団法人「東日本大震災支援財団」さんが、プログラムを提供し、私も年に2回から3回足を運ぶことができている。

 私が、大船渡に訪問をしていることを知っている人たちからは、「復興はどれくらい進んでいるの?」こんなことをよく聞かれる。

 正直答えは「YES」だ。

 しかし、年月と重ねると緩やかに進んでいるのかなという印象。それは、肌感含め、ハード面の充実という視点からだ。一緒に同行したスタッフの方は、しばらく来ていなかったので、「町が変わってる!」

 大船渡の町に着いた際は、驚いていた。

 3年前に訪問した際は、まだまだ町の中心にも使われてない建物が多く残っていたし、飲食店含め、お店は、全てプレハブだったように思う。

 ただ、宿泊したのは真新しいビジネスホテルだった。当時は、感動した。

 いつも一ノ関駅から車で約1時間半かけて大船渡の町に向かう。道ももう見慣れた景色だ。山をいくつも越えて、向かう。途中の道でも、まだプレハブが残る。

 最後の山を越えて「いよいよ着く!」その瞬間に、きれいすぎる景色が車の窓から見える。まさに、ため息交じり。「この町が、2011年3月11日のあの日はどんな様子だったのだろう」毎回過去を見つめる時間になるのだ。

 時間がたてばたつほど、あの時のことを、忘れられないか心配になる。

 もちろん、地元の方は、いつも笑顔で「おかえりなさい。またよろしくお願いします」と迎えてくれる。東北の人は本当にやさしく、癒やされる。

 そもそも何をしに大船渡に訪問しているかというと、冒頭で説明したプログラムで、子どもたちに遠隔で水泳を教えるためだ。これは遠隔指導だけでなく、プログラムキックオフや中期、最後の成果を発表する最後のイベントとして年に3回ほどある。

 特に、私は会って子どもたちと触れ合うことが何より大切だと思っている。

 「体験」「経験」

 水泳だけでなく、どんなことでも大切な要素だと思う。

 「チャレンジしないと失敗もしない。最初は、みんな初心者」

 私は、教育現場にいるときや、子供たちと接する際には、このことを伝えるよう心掛けている。

 本年度は、10人の小学生、中学生が対象となった。

 子供たちと、最初に会った時は、緊張の面持ちだ。

でも少しずつ緊張は解け、一緒に準備運動をすると、一気に笑顔になる。

 「一緒にやる!」

 このことが子供たちにはとても大切なこと。

 プールに入って一緒に泳いだら、もう他人ではない。

 一緒に水に入った仲間だ。本当にスポーツはいい。急に緊張が解け、笑みがはじける。「一緒に遊ぼうよー」必ず声をかけてくれる。

 私が見本を見せると、「どんな泳ぎだった?」この問いには「きれいな泳ぎだったー」とか「姿勢がよかった」「一かきでたくさん進んでた」こんな意見が多くある。

 子供の吸収力や、視野の広さにはいつも感激する。

 純粋なまなざし、真剣な表情を見ていたら私も「その気持ちに応えたい!」と純粋に思わせてくれる。エネルギーを沢山もらえる。

 最後に、1年間の宣言を子供たちがする時間がある。

 一番心に残った言葉がある。どんな町にしたいですか?

 「震災で家をなくした人にお家を建ててあげたい」

 こんな気持ちの子供たちが大きくなる途中の道のりを一緒に歩めてることが、とても誇りだし、責任感もある。

 帰るとき、親御さん、子供たち、先生たちから「ありがとうございました」と、いつも言われるが、私の方がいつもいろんなことを気づかせてくれてありがとうという気持ちだ。

 これからの子供たちとの1年間がとても楽しみだ。

(伊藤華英=北京、ロンドン五輪競泳代表)