4月に入り、いよいよ本格的にトライアスロンのシーズンがはじまった。

オリンピックを目指すエリート選手でいうと翌年のパリオリンピックに向けて、大切な1年になるだろう。有観客となり、より一層力がわくに違いない。

また、愛好家の方々はコロナ禍でレース数が限られていたが今年からは復活するレースも多く、トライアスロンを楽しむことが待ち遠しいと思う。

石垣島トライアスロン大会での様子。右の蔵本葵選手の手には石垣島トライアスロン大会オリジナルのメダル
石垣島トライアスロン大会での様子。右の蔵本葵選手の手には石垣島トライアスロン大会オリジナルのメダル

私は引退をしてから大会MCのお仕事に携わったり、裏方の運営を肌で感じる機会に恵まれた。アスリートだった頃には経験できなかったことで気付かなかったことが多く、1つのレースやイベントを開催するには多くの方々の力がなければ成り立たない。

そして自然と共存するトライアスロンは昨今、現在問われている環境に直面することもある。

レースを開催するために人力を尽くしても、自然環境には敵わない時もあるのだ。

台風などの気候の問題もあるが、最近ではレースが実行できる科目の1つに水質も組み込まれた。水温や水質の規定がクリアできなければ、スイムパートがなくなりデュアスロン競技(ラン-バイク-ラン)に変更となる場合もある。世界の中では、『今までは泳げていたのに…』という地もあり、アスリートたちにも危機感を感じられる。

こうした問題に直面している今だからこそ、大げさかもしれないが30年、50年、100年先にトライアスロンは存続しているのかと考えさせられる。

数年前からスポーツ界では今あるスポーツを持続可能にしていく為に、各方面でさまざまな工夫がされている。

トライアスロンにおいては大会前にビーチクリーンを行ったりと環境について考えるきっかけとなる行事を行ったり、その土地柄を生かした参加賞やメダルが作られている。

また、マラソン大会ではマイボトルを持参する大会や参加賞Tシャツや配布物を環境に配慮した素材を採用したり、先日開催された競泳の日本選手権では水着や衣類のリサイクルブースを設ている模様を拝見し、感銘を受けた。

企業によっては海に優しい日焼け止めを開発し、環境にもアスリートにも優しい取り組みをされている。

今すぐに温暖化を解決したり、水質汚染をクリアにすることは不可能に近いが、こういう取り組みの中での1人1人の気付きが最も大切なのではないか。

昨年千葉・銚子マリーナで行ったビーチクリーン
昨年千葉・銚子マリーナで行ったビーチクリーン

昨年から地元である千葉県銚子市の銚子マリーナでイベントを行うごとにビーチクリーンを行ってきた。

私がはじめる以前から団体や個人で清掃活動を行っている方々がたくさんある中で、残念ながらゴミが落ちているという現実もある。捨てる人も気持ちはわからないが、拾う人の輪を更に広げ、『ゴミのない社会、ゴミのない海』が当たり前でありたいものだ。

そういう中でスポーツを愛する『やる人、支える人、見る人』全ての人がさまざまなアイデアを出し合い、行動に移すことで少なくとも自然環境に良い影響をもたらし、より良い社会へと導いていくと信じている。(加藤友里恵=リオデジャネイロ五輪トライアスロン代表)