いよいよ国内最高峰の大会であるワールドトライアスロンシリーズ横浜大会が今週末開催される。
13日土曜日には、パラトライアスロンとエリートトライアスロンの熱き戦いが繰り広げられる。
14日には、トライアスロン愛好家の方々がそれぞれ最大限のパフォーマンスを発揮して大会を盛り上げてくれるだろう。
今回はパラトライアスロン、エリートトライアスロンのレースを展望する。
★パラトライアスロン。
リオパラリンピックから正式種目となったパラトライアスロン。東京2020では宇田秀生選手が銀メダル、米岡聡選手が銅メダルに輝き、次は我こそがと闘志を燃やしている選手も多く、それに加えて障害のある方がトライアスロンに挑戦することが増えてきたように感じる。
今回の出場選手は以下の通り。
【パラトライアスロン出場選手】
女子PTS2:秦由加子(キヤノンマーケティングジャパン・マーズフラッグ・ブリヂストン/千葉)
男子PTWC:木村潤平(Challenge Active Foundation・サンフラワー・A株式会社/東京)
男子PTS2:中山賢史朗(東京都トライアスロン連合)
男子PTS4:宇田秀生(NTT東日本・NTT西日本/滋賀)
男子PTS4:荒力(ホンダアスリート/大分)
男子PTS5:佐藤圭一(セールスフォース・ジャパン/愛知)
男子PTS5:梶鉄輝(JPF/兵庫)
男子PTVI:米岡聡(三井住友海上/東京)
ガイド:花岡秀吾
男子PTVI:山田陽介(ジール/奈良)
ガイド:阿部有希
男子PTVI:樫木亮太(大阪府トライアスロン協会)
男子PTVI:高橋勇市(東京都トライアスロン連合)
注目は女子選手唯一の参加となる秦由加子選手。秦選手は東京五輪後、足の手術、リハビリを経てパワーアップして帰ってきた。アメリカ、オーストラリア、スペインと強豪国が名を連ねるが最大限の力を発揮して、納得のいくレースをしてほしいと願う。
男子はベテラン勢から初出場の選手まで、年齢層や障害も違う中ではあるが、切磋琢磨(せっさたくま)し合いながら強化をしている。宇田選手、米岡選手はもちろんのこと、夏冬二刀流(パラトライアスロンとパラスキー)の佐藤選手や、普及活動にも意欲的に取り組んでいる木村選手にも注目だ。
★エリート女子
国内選手では東京五輪代表の高橋侑子選手が自国開催で世界の強豪選手と戦う姿を楽しみにしているファンは多いと思う。佐藤優香選手、井出樹里選手も横浜大会と相性がよく、佐藤選手は入賞、井出選手は表彰台にあがったことのある実力者。3選手の巧みなレースさばきにも注目だ。また、中山選手、池野選手、福岡選手らにもスイムから強豪選手にくらいつく積極的なレースに期待したい。
【国内エリート女子出場予定選手】
高橋侑子(相互物産/東京)
中山彩理香(アクサスホールディングス/東京)
池野みのり(SAGA SPORTS PYRAMID/佐賀)
福岡啓(オクタケグループ/福井)
佐藤優香(トーシンパートナーズ、NTT東日本・NTT西日本、チームケンズ/山梨)
井出樹里(鹿児島県トライアスロン協会)
海外勢は、イギリス、アメリカの有力選手を中心とし、スイムからスピーディーなレース展開が予想される。
私が出場していた4、5年前は、バイクで大集団になってからのラン勝負が多かった。すなわち、ランが得意な選手が優勢なレースだったが、近年はスイムで先行した選手らがバイクでも積極的に後続を引き離すレース展開が多い。今回は東京五輪金メダリストが不在の中、最有力候補のジョージア・テイラーブラウン選手率いるイギリス勢と、テイラー・スパイビー選手率いるアメリカ勢はじめとする強豪国の争いに注目が集まる。そこに高橋選手らスイムが得意な選手がレースの流れに乗り、良いレースができることを楽しみにしている。
★エリート男子。
東京五輪前から男子強化をはかった成果で海外の強豪選手らに積極的に挑める選手が増え、選手層が厚くなった。
昨年の横浜大会で9位と日本勢最高順位だった小田倉真選手はじめ、ワールドトライアスロンチャンピオンシップシリーズで上位に食い込み、ワールドカップで入賞するなどしているニナー選手、北條選手、古谷選手はスイムから第一集団で展開する可能性が高い。また、佐藤選手、安松選手、内田選手はバイクランを得意としているので、粘りのレースに期待だ。
【国内エリート男子出場予定選手】
北條巧(NTT東日本・NTT西日本/東京)
ニナー賢治(NTT東日本・NTT西日本/山梨)
佐藤錬(玉昌会/鹿児島)
小田倉真(三井住友海上/東京)
古谷純平(三井住友海上/東京)
安松青葉(アクサスホールディングス/東京)
内田弦大(滋賀県スポーツ協会/滋賀)
エリート男子は、東京五輪金メダリストのクリスティアン・ブルメンフェルト(ノルウェー)と銅メダリストのヘイデン・ワイルド(ニュージーランド)、そして現在世界ランキング2位のレオ・ベルジェーレ(フランス)がどのようなレースを展開するか注目だ。
レオ選手はスイム先行タイプ、ヘイデン選手とクリスティアン選手はバイクを得意としている。ここに日本勢がどう絡んでいくかにも注目し、横浜の街を盛り上げてほしいと願う。(加藤友里恵=リオデジャネイロ五輪トライアスロン代表)