あけましておめでとうございます。

新年が明け、あっという間に半月が過ぎた。皆さんはどんなお正月を過ごされただろうか。

私は現役を引退してから6年。今では、さまざまな重圧から解放され、ゆっくりとお正月を迎えられるようになった、、、と言いたいところだが、全く休めていない。むしろ、娘たちや甥っ子や姪っ子の相手でクタクタな年末年始となっている。ゆっくりと過ごせる日々はまだまだ遠い先のようだ。

さて、いよいよ2023年。パリオリンピック出場をかけた戦いの幕開けだ。「まだ1年も先のこと」と思われる方もいるかもしれない。しかし、オリンピックの選考会は、前年から始まる競技が多い。飛び込み競技もその1つだ。

選手たちにとって、きっとこの年明けは昨年とは違ったはず。「勝負の年」が始まり、大きな覚悟を心に誓った選手も多いのではないだろうか。

私もオリンピックの前年は、年明けと共に胸の奥から闘志が沸くのを感じていた。初詣ももちろん願うのは「ベストパフォーマンスができますように」。24時間、飛び込みの事が頭から離れることはなかった。

人生をかけた挑戦が始まると、目標とする試合までの日々をどう過ごすかばかり考えていた。1日1日を悔いなく過ごす。そうすれば、どんな結果が出ても受け入れられる。そう信じる事が、唯一自分を安心させた。

しかし、あまりの緊張からオフの日もゆっくり過ごす事はできなかった。

迫り来る選考会への不安がずっと頭から離れない。身も心も削って努力してきたことが、結果として表れる恐怖。自分で決めた目標でありながら、その重圧は大きく心にのしかかっていた。振り返れば、「早く終われ、早く終われ」といつも願っていた。それほどまでに全てをかけて臨むオリンピック。その事を思うと、飛び込み競技だけではなく、全ての競技、全世界のアスリートたちにエールを送りたくなる。

水泳競技では、今年7月に福岡で開催される世界選手権が1回目のチャンス。オリンピック出場をつかむための大切な1試合だ。

東京オリンピックが閉幕したのもついこの間のように感じる。しかし、この1年は、さらにあっという間に過ぎていくだろう。

選手たちや、それを支えるコーチやスタッフ。皆が悔いのない年になる事を心から祈っている。

そして、私も昨年に習得した「国際審判」という役割を活用できればと思う。

そんな事を考えていた年明けだった。

皆さんにとっても素晴らしい1年となりますように。

本年もどうぞよろしくお願い致します。【中川真依(北京、ロンドン五輪飛び込み代表)】(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「中川真依のenjoy!ダイビング」)