貴ノ花(二子山親方)

「土俵の鬼」の目にも涙。1975年春場所、初優勝を果たし兄で師匠の二子山親方から優勝旗を受ける大関貴ノ花
「土俵の鬼」の目にも涙。1975年春場所、初優勝を果たし兄で師匠の二子山親方から優勝旗を受ける大関貴ノ花

上記の名言は55歳で亡くなった二子山親方(元大関貴ノ花)が大切にしてきた言葉だ。1971年初場所千秋楽の夜だった。深夜3時、貴ノ花の車が外苑前を通りかかると、横綱玉の海の車が停車していた。運転手の姿しか見えない。貴ノ花は運転手に声を掛けた。「横綱がいるものですから」と運転手。貴ノ花が目を凝らすと、真っ暗な外苑通りを玉の海が走っていた。玉の海は決定戦で大鵬に敗れていた。「その姿を見たとたん、私は自分が恥ずかしくて、恥ずかしくて、しばらく玉の海さんの姿が頭から離れなかった。相撲人生で大きな岐路になった出来事です」と語った。ケガを恐れず、決して逃げず。お天道様は師匠であり、ファンであり、相撲の神様でもある。(/_;)

<大相撲・2005年5月31日掲載>