もう2年4カ月しかない-。今月10日、19年ラグビーW杯日本大会の1次リーグ組み合わせ抽選会が行われた。8強進出を目指す日本は世界ランキング4位のアイルランド、同5位スコットランド、欧州予選1位、プレーオフ勝者(欧州予選2位とオセアニア3位)の4チームと同組になることが決定。強化の方針が明確となる一方で、ホスト国として大会を成功に導く責任も重くのしかかる。

 抽選結果は、2大会連続の「金星」に期待が膨らむものだった。ポイントは2つ。1つは世界ランキング上位4カ国が入った第1グループで、ニュージーランド、イングランド、オーストラリアを回避できたこと。アイルランドが「超」が付く強豪国であることは確かだが、過去のW杯の実績で言えばベスト8が最高。残り3チームが優勝経験国であることを考えると、前向きに捉えていいだろう。

 もう1つは、第2グループに振り分けられた南アフリカ、フィジーとの対戦を避けられたことだ。特に南アフリカは現時点では世界ランキングを落としているが、底力は抜けた存在だけに、同じ組は避けたいのが本音だった。ニュージーランド、南アフリカ、フィジー、サモアという「死の組」となる可能性もあっただけに、対戦国が出そろい、「85点~90点」と話した関係者の声にも納得だ。

 だが、浮かれてはいられない。開幕までは、2年4カ月。「日本」に残された時間は決して多くない。抽選翌日の会見でジョセフ日本代表ヘッドコーチは「2年前からはメンバーを固定していく」と明言。つまり、70人程度いるとみられる候補選手にとっては、6月、11月のテストマッチが実質最後のアピールの場となる。W杯開幕までに日本代表として戦えるのはわずか20試合程度。主力のメンバーが固まれば、対戦相手を意識した強化に、すぐにシフトしなくてはならない。

 一方、運営側にとっての課題は認知度の低さだろう。今大会はアジア初開催のW杯とあり、ある意味では世界からも厳しい目で見られている。15年大会で大フィーバーが巻き起こったことからも、大会が近づけば大きな盛り上がりが生まれるだろう。だが、日本代表戦が満員でも、海外チーム同士の試合が「ガラガラ」では大会の成功とは言えない。6月、11月の代表戦、9月に発表される大会日程、来年早々のチケット発売を大きなプロモーション材料とし、日本ラグビー界が一体となったアピールが求められる。時間はあるようでない。【奥山将志】

 ◆奥山将志(おくやま・まさし)兵庫県出身、2006年入社。広告局を経て、13年4月からスポーツ部でプロレス、ボクシングなどを担当。現在はラグビーを中心に取材。