アメリカンフットボールの国内シーズンが終了した。春は日大の反則問題で大騒ぎも大詰めのボウルゲームは順当だった。富士通が初の3年連続4度目の日本一。最後の日本選手権ライスボウルは52-17の大勝に、敗れた関学大から開催意義を問う声が上がった。

米国人RBニクソンがサイズとパワーを生かしたランで試合を決めた。社会人として最多得点タイ、大会史上3番目の得点差。関学大は第一に安全面、さらに勝負という面白みがないというもの。形態を変える時期と提案している。

ライスボウルは48年に東西大学オールスター戦で始まった。84年から社会人と学生が対戦の日本選手権に変わった。当初は練習量豊富な学生が7勝1敗も、その後28年間で学生は5勝止まり。立命大が09年に勝った後は社会人10連勝となった。

社会人が徐々に実力、体力アップし、リーグや日本代表も価値観が高まり、近年は米国人起用で強化が背景にある。学生は米国人と対戦機会は少ないハンディも、各世代の日本代表は世界大会の目標もある。

富士通の藤田ヘッドコーチは15年の初対戦で9点差と苦戦を口にしていた。10年間で2TDの14点差以内は半分の5試合。富士通は今季10連勝だが、オービックとパナソニック以外の7試合は14点差以上だった。ニクソンは今季ずっと走りまくっていた。

92年から東京ドーム開催で今年は3万3242人が詰めかけた。正月のスポーツでは新日本プロレスの3万8162人に次ぐ。昨年は日大が27年ぶり出場に3万5002人など5年連続3万人超え。日本協会が主催する国内最大で唯一の試合である。

オールスター、全日本大学選手権、日本社会人選手権、日米大学対抗戦…と、他のゲームへ移行の声も上がる。それぞれの協会の財源だし、大学選手権自体に東西システムの違いの方が問題に思うし、日米対抗は米国の規定から実現は極めて難しいし。

興行優先ではとの指摘も、この日本協会の収益が日本代表の運営、強化、競技の普及、発展の資金なのも事実。オールスターでこの規模の動員は厳しい。

早大は関学大に敗れて初のライスボウル出場はならなかった。DL斉川主将は「しんどいだろうけど出たかった。どれだけ通じるか、楽しみたかった」。高岡監督も「とにかく1度は出たい」。ライスボウルに出場した大学は過去6校だけの栄誉でもある。

日大騒動もあってか、安全性を危ぶむ声は強い。そのうち普段の社会人と学生の交流試合もできなくなるのかとも思ってしまう。社会人の発展という面でも悩ましい問題となる可能性もある。

このビッグゲームをおいそれと他に変更するのは実にもったいない。そこで試合規定を設ける考えがある。1Qを15分から12分、外国人選手の各Qで人数と出場制限など。1Q15分は甲子園ボウルとライスボウルだけで、世界大会は1Q12分で統一されている。外国人制限はバスケットボールのBJリーグで実施されている。

ラグビーでは同じ形態からトーナメントになり、17年にはついに学生枠がなくなった。箱根駅伝、大学ラグビー、花園ラグビー、高校サッカーと並び、ライスボウルも正月の風物詩。BSと言えどもNHKテレビで全国中継される数少ない決戦。日本選手権としてのボウルゲームとして存続を願う。【河合香】