バレーボールのVリーグで今季初優勝したジェイテクトのセッター中根聡太(24)とエース西田有志(20)は、一緒にデビューした。2018年1月に広島市内で行われた堺ブレイザーズ戦に、同期入団の2人はそろって途中出場。試合には敗れたが、両者ともその日の出来事を目に焼き付けている。あれから2年余りがたち、今季で現役引退した中根は、今月から教員の道に進んだ。西田はそんな元同期に「選手時代の経験を生かして」と温かいエールを送る。

18年1月6日、広島県立総合体育館。プレーオフ進出を目指す6位ジェイテクトと7位堺の一戦に、3100人の観客が集まった。ベンチ入りした西田と中根は、1セット目から早速出番が訪れた。セッターとその対角のアタッカーを同時交代する「2枚替え」で投入された。

憧れの舞台に立てた喜びよりも、三重・海星高3年で当時17歳の西田は重圧が勝ったという。「(中根と)ベンチでしゃべって笑い合っていたけど、交代するときはおえつしそうなくらい緊張しました。一番緊張したと言っても過言ではないです」と振り返る。中根も試合内容はあまり記憶にないが「西田が『めっちゃ緊張する。吐きそう』と言っていたのを覚えています」と笑う。

この試合は0-3でストレート負けを喫したが、西田は途中出場ながら70%以上のスパイク決定率を記録。中根も2セットに出場し、セッターとして攻撃をけん引した。

デビュー戦から2年余り。2人は2月29日、パナソニックとのプレーオフ決勝戦(群馬・高崎アリーナ)に臨んだ。新型コロナウイルスの影響で無観客試合となった一戦はフルセットにもつれる接戦となったが、ジェイテクトが悲願の初優勝を果たした。今季限りで現役生活を最後にすると決めていた中根は、有終の美を飾った。

西田は準決勝のサントリー戦(2月24日)の試合前に、中根から今季限りの現役引退を告げられた。4月から母校・星城高で教員になると伝えられ、西田は「中根さんをなんとか勝たせたいと思いました」とモチベーションが一層高まったという。

中根とは釣りをしたり、共通の友人と遊んだり公私にわたって深く付き合ってきた。年齢は4つ離れているが、フランクに話し掛けてくれる優しい先輩だ。西田は「(中根は)後輩思いで、言葉を使い分けることができる人。優勝を経験できて指導者になる人はなかなかいないので、指導を受ける選手がうらやましい」と指導者への道に進んだ元同期に適性を感じている。

指導者を目指す中根に1つ助言をするとしたらと尋ねると、西田は「選手から指導者になるのはバレーボールの見方が違うと思うので、選手の感覚で行うと難しさがあるはず。逆に選手時代にこうしておけば良かったと気がつけることもあるはずなので、それを指導に生かして欲しい」と答えた。

中根が以前取材で「(西田らが)ベテランになった時、育てた選手が一緒にプレーしてくれたらうれしいです」と語っていたことを伝えると、西田は笑い声を上げ「絶対できるでしょ」と言い切る。伸び盛りな20歳はいつまで現役生活を続けるかまだ分からないとしながらも「競技を続けるモチベーションになりますね」。語り口にはうれしさが込み上げていた。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「We Love Sports」)