高校日本一を争う全国高校総体(四国総体)は28日の総合開会式で幕を開ける。

8月23日まで徳島県ほかで30競技が行われる(一部競技は24日から先行実施)。自転車の男子1キロタイムトライアル(TT)では昨年王者の函館大谷・中石湊(3年)が2連覇を狙う。初出場した6月のアジア選手権(インド・ニューデリー)ジュニアで3種目に出場し、全種目でメダルを獲得。満を持して高校最後のインターハイに挑む。

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中石は表情を引き締めながら口を開いた。「2年生で勝ったから3年生でも勝てるということはない」。昨年の1キロTTを制覇。王者として臨む高校最後の大舞台へ「インターハイは連覇で大会新を狙いにいきたい」と目標を描いている。

同種目を主戦場とし、実績は十分に積んできた。昨年3月の高校選抜2位をはじめ、同8月の総体で全国優勝。今年3月の選抜でも頂点に立った。日本自転車競技連盟ジュニア男子の強化指定選手にも選出されるなど期待のホープだ。

初めて挑んだ6月のアジア選手権は3種目に出場。1キロTTで3位、スプリントで優勝、ケイリンで2位と全種目でメダルを獲得。1キロTTで勝利できず「メインとしてやっていたので、優勝できなかったのは悔しい」と振り返りながらも、自分の走りが通用することを証明した。

小学2年の時に故郷大阪の岸和田競輪場で競輪観戦し競技を知った。「こういうスポーツもあるんや」。それまで続けていた陸上短距離に中学で区切りをつけ「本気で自転車をするために地元を離れて北海道に来ました」と函館大谷に入学した。元競輪選手で同校のコーチを務める大森芳明氏(63)の指導を受けたかったことも理由の1つで「今の自分の足、速さになっている」と選択は正しかったと感じている。

女手一つで支えてくれる母の早苗さん(43)も中石の高校進学を機に大阪を離れ、函館に移り住んだ。昼の弁当をはじめ、身の回りの支度など、後押ししてくれる。「食生活もしっかり管理してもらっているので競技だけに集中できる。感謝しかない」。活躍がなによりの恩返し。高校最後の夏、再び日本一になって母を喜ばせる。【山崎純一】

◆中石湊(なかいし・みなと) 2004年(平16)11月14日、大阪市生まれ。高校から自転車競技を始める。家族は母。血液型A。好きな食べ物は焼き肉と母の作るオムライス。目標の選手は大森コーチの息子で競輪選手の大森慶一。174センチ、75キロ。

▼中石の昨年全国高校総体VTR 福井で行われた自転車の男子1キロTTで1分5秒484で優勝。2位の半田誠(愛媛・松山学院3年)とはコンマ374秒差だった。