男子ケイリン決勝は、パリ五輪を目指すホープ中野慎詞(23=日本競輪選手会)が逃げ切り、国際大会初優勝を飾った。女子スプリントは、佐藤水菜(23=同)が前日29日のケイリンに続いて2冠を達成した。

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ナショナルチームの中野が、国際大会での勲章を手に入れた。決勝は残り2周から先頭に立ち、そのまま後続を振り切って快勝。「競技の成績が全然なくて後がない状態。自分の力を見せつけてやろうと思った」と、安堵(あんど)の表情を浮かべた。

脚力は折り紙付きだ。早大在学中から強化指定を受け、競輪選手養成所も、成績優秀のために同期とともに史上3、4例目の早期卒業を果たした。あとは実績だけ。ただ、今大会も28日のケイリンでは落車、29日のスプリントは決勝に勝ち上がりながら失格(落車)。着順すらもらえなかった。「2日も落車して体は痛い。でも、この状態でも、勝てれば自信になると思った」。コロナ禍もあり、国際大会も数少ない。代表入りアピールのためにも結果が欲しかった。

28日のケイリンは、代表OBの脇本雄太に優勝をさらわれ、今の日本勢に絶対的エースは見当たらない。代表争いにはまだチャンスがある。「高みを目指すよりも、今は走るレースを全力で勝ちたい。それが世界選手権、パリ五輪へとつながると思う」。きょう31日はスプリントに出場。2冠を手にして先輩メンバーを脅かす。【山本幸史】

◆中野慎詞(なかの・しんじ)1999年(平11)6月8日生まれ。岩手県花巻市出身。早大卒。紫波総合高で自転車を始め、早大在学中からナショナルチーム入り。昨年12月、競輪選手養成所を特例で早期卒業し、今年1月1日前橋でデビュー。4月にはS級に特別昇級し、競輪ではデビュー以来、無敗の24連勝中。176センチ、83キロ。血液型A。

○…女子スプリントの佐藤が、29日のケイリンに続き香港のスター李慧詩を下して優勝した。実戦経験が少なく苦手とするスプリントでの好結果に「予選では自己ベストが出せたし、調子は右肩上がりだと思う。決勝では李慧詩と最高のパフォーマンスができた」。31日のケイリンで連続優勝とともに、今大会最多となる個人種目3冠を狙う。

▽男子ケイリン(1)中野慎詞(日本競輪選手会)(2)松井宏佑(同)(3)シャオ・シーシン(台湾)▽女子スプリント(1)佐藤水菜(日本競輪選手会)(2)李慧詩(香港)(3)梅川風子(日本競輪選手会)▽男子オムニアム(1)今村駿介(チーム・ブリヂストンサイクリング)(2)窪木一茂(日本競輪選手会)(3)橋本英也(同)▽女子マディソン(1)内野艶和・古山稀絵組(2)香港個人チーム(3)香港