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1996年のライスボウル

京 大 35 7-0
14-14
7-0
7-7
14 松下電工

京大、鉄壁の守備で日本一!

<アメリカンフットボール:ライスボウル>◇96年1月3日◇東京ドーム

 京大が、8年ぶり4度目の日本一に輝いた。LB阿部拓朗(4年、高志)らが7度のQBサックを決めるなど鉄壁の守備を見せ、攻めても5TDを奪って松下電工に35―21で快勝した。学生の日本一は5年ぶり。MVPのポールラッシュ杯を獲得した阿部は、日本人として初めて招待されたシュラインボウル(全米大学オールスター戦、13日=カリフォルニア)に出場するため、6日に渡米する。

 先制TDを決めた直後の守りだった。松下陣28ヤードからの攻撃で、守備ラインの間から猛ラッシュをかけた阿部が、相手QBの藤原を浴びせ倒した。思いっきり人工芝にたたきつけられ、脳震とうを起こしてベンチへ下がった藤原に代わって投入された2番手QBの渋谷は、まだ第3ダウンだというのにパントで攻撃権を放棄した。松下に動揺が走り、京大が完全に主導権を握ったQBサックだった。

 「狙ってましたよ。最初からガツンといくつもりで……」。物静かな阿部だが、グラウンドに立つと表情がひょう変する。日本人で初めてシュラインボウルに招待されたプライドが、社会人王者・松下のメンツをもつぶした。

 パワーもスピードも上回る松下電工から4度のターンオーバーを引き出した。しめて3度のQBサックを決めた阿部に刺激され、DT伊藤主将も2度のサックに成功。松下のベースであるラン攻撃を58ヤードに抑え込んだ。「藤原君を調子に乗せるとTDのあらしになりますからね。最初につぶさないと勝機はないと思っていました。どっかに穴がないか、血眼で探してそこを突くのがぼくらの仕事。藤原君は自滅型で、粳田君は速いけどボールの持ち方が雑でしたからね」。森清之コーチ(31)の作戦が見事にはまった。QBに先制パンチを浴びせ、エースRB粳田からもファンブルを誘った。

 最強の守備ラインに、攻撃陣もつられた。松下が無警戒だったパスで、京大攻撃はペースをつかむ。第4Q開始早々にはFG狙いと見せかけて、キッカーの田中がとどめのTDパスを決めて、勝利を確実にした。

 8年ぶり日本一とポールラッシュ杯を勲章に、阿部はギャングスターズの代表で本場に乗り込む。「あなたはフットボール界のNOMOか」と外国人プレスに聞かれたヒーローは照れ笑いをしながら首を横に振った。「監督さんには“死なんと生きて帰れ”と言われました。英語もダメですが、気迫でやれば何とかなるでしょう」。京大魂のタックルを本場で見せるつもりだ。【赤星美佐子】



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