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1998年のライスボウル

鹿 島 39 10-0
16-0
10-0
3-0
法 大

鹿島、法大を史上初の完封で下し初の日本一に

<アメリカンフットボール:ライスボウル>◇98年1月3日◇東京ドーム

 社会人王者の鹿島が、ライスボウル史上初の完封勝ちで悲願の日本一に輝いた。今季1試合で2TD以上許したことのない鉄壁DFが学生王者の法大を抑えきり、39―0で完勝した。エリート集団は、優勝できなかった昨年までの屈辱と欧州リーグ(WLAF)で昨年活躍したTE板井征人(25)のアドバイスを糧に、創部10年で初の栄冠を手にした。MVPには鹿島LB小川潤(26)が選ばれた。

 鹿島DFには、アリの穴ほどのスキもなかった。中央、サイドと走り分ける法大のオプション攻撃をことごとく封殺。パスプレーも49ヤードしか与えず、完全に封じ込めた。第4Q7分すぎには相手にゴール前3ヤードまで攻め込まれたが、11人全員が壁となり守りきった。相手ラインで主将の基が「次元が違う」というDF力で、ライスボウル史上初の完封勝ち。創部10年にして悲願の日本一となった。

 「代表して(DLの)小川がMVPを取ったが、シーズンを通じてDFがよく頑張ってくれた」と金氏監督はしみじみと言った。攻撃もRB堀口、児玉がTDランを決め、自慢のWR陣が何度も好捕を見せて39点を奪った。しかし高野ヘッドコーチ(HC)は「うちのDFを相手に攻撃の練習をしてるんだから」と言った。攻守にわたってDFがもたらした優勝だった。

 創部2年目に、日大でライスボウルを制したQB宇田川らエリート選手が大量に入部し、「5年で日本一」が目標になった。下部リーグを圧倒的な強さで勝ち上がったが、1部に昇格して低迷が続いた。スター選手の集まりのために組織力はぜい弱。楽して勝ってきたために、選手の真剣さが希薄になっていた。約束の5年はあっという間にすぎていた。

 「勝つために基本的なモラルを徹底し、自分たちのスタイルをつくる契機になった。あの時に勝てなかったから日本一になれた」と高野HCは振り返る。再建は順調に進んだが、昨季は1得失点差でプレーオフ進出を逃した。その悔しさが、今季の団結力も生んだ。

 さらにTE板井が欧州プロリーグで活躍して帰国。「肉体面で圧倒しないと勝ち目はない」とアドバイスした。ウエートトレの回数を記録して競争意識を芽生えさえ、選手全員がたくましさを増した。また集中力の大切さも力説。練習中は歩かず、座らないなど地味だが効率的なことを実践した。「今年はどうしても日本一になるという雰囲気がチームにあったからこそできた」と板井は言った。

 「10年かかって、やっと創立当初に考えていたチームができた」と高野HCは言った。タレント集団は、エリート意識を捨て去ることで日本一をついに手にした。【飯田玄】



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