1999年のライスボウル
リクルート | 30 |
24-7 3-3 0-6 3-0 |
16 | 立 命 |
リクルートが2年ぶりV
<アメリカンフットボール:ライスボウル>◇99年1月3日◇東京ドーム
社会人王者リクルートが学生王者の立命を30-16で下し、2年ぶり2度目の日本一に輝いた。MVPを獲得したSB堀江信貴(24)のキックオフリターンを生かして、第1Q(クオーター)にTDを重ねて大量リードを奪い、オプション攻撃で粘る立命を振り切った。不況による休部のピンチを乗り越え、チーム一丸となって栄冠を手にした。
2年前とは優勝の味が違った。「マークされ続けての日本一。フロックではない分、充実した勝利だった」。リクルートの並河監督は、はしゃぎまわる選手の横で腕を組み、静かに喜びをかみしめた。
初優勝の時はダークホース的存在だった。本命だとなった昨季は、リーグ戦で地区3位に終わりプレーオフにさえ出場できなかった。「強いと錯覚していた。今季は自分たちのプレーをQUEST(探求)しなさいと言い続けた」。スタント・ヘッドコーチは振り返った。
キックオフ直後だ。球をキャッチしたスペシャルチームのリターナー堀江が、立命大のDFにあいた穴を走り抜け、敵陣38ヤードまで突き進んだ。62ヤードのロングゲイン。試合の流れをつかむFGの先制点に結びついた。10―7に追い上げられた第1Q9分すぎにも、やはりキックオフから。再び堀江が相手DFをかわし39ヤードをゲイン、貴重な追加点につながった。
堀江は40ヤード走4秒47でXリーグ一の速さの持ち主。通常2人いるリターナーを堀江だけにし、余った1人をブロッカーにまわした。ブロックされて開けた走路を、堀江が反応良く走った。「思った通り走れました」。パントリターンを含め139ヤードも獲得してMVP。選手の個性に合わせた、探求の勝利だった。
不況で休部するチームが今季は目立ったが、ひとごとではなかった。結果が出なければ、休部のピンチもあった。忙しい仕事の合間を縫い、選手は練習をこなしてきた。クラブハウスには、今季から営業用の電子メールのために3台のパソコンが置かれた。ミーティングや練習が終わると、パソコンに選手が殺到することもしばしば。苦難を克服しての優勝の味は、違って当然だった。【飯田玄】