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2002年のライスボウル

関 学 30 0-6
27-7
3-0
0-14
27 アサヒ飲料

アサヒ完敗…関学が悲願の初優勝!

<アメリカンフットボール:ライスボウル>◇02年1月3日◇東京ドーム

 関学が創部61年目で悲願の日本一に輝いた。社会人王者のアサヒ飲料を30―27で下して初優勝。第2Qに4TD、27点を奪う猛攻を見せ、学生として96年の京大以来6年ぶりに勝利した。3TDランを奪ったQB尾崎陽介(3年)がMVPを獲得。学生王者に史上最多の22度君臨した名門が、5度目の挑戦で京大、日大に続く学生で3校目の栄冠を手にした。

 東京ドーム全体が驚がくした。関学だけが冷静だった。20―6でリードした第2Q8分、QB尾崎がTE榊原にパスを通す。DFを背中に引き付けた榊原は、猛然と走ってきたRB三井にボールをトスした。アメフトでは珍しい「壁パス」。三井は、がら空きの右オープンを駆け抜けた。

 直後のゴール前でも相手の守備を驚かせた。1ヤードまで迫ると攻撃選手11人を中央に固めた。1度目は尾崎が右オフタックルをつく。相手のLB河口、山田のプロ経験者の壁でTDは奪えない。インチが残った。2度目は同じタイミングから正面をついた。第2Q4本目のTD。1試合平均5・7失点と鉄壁を誇る社会人王者の守備を崩壊させた。

 小野宏攻撃コーチ(40)は「アサヒ飲料はゴール前1ヤードが堅い。1ヤードを2回で取るつもりだった」と話した。体力に劣る学生が勝つには戦略が必要だった。準備した81プレー中60プレーを使用した。前半はQB3人を使い、オープンへのランで相手の体力を消もうさせた。「壁パス」などスペシャルプレー4つもすべて成功。「尾崎が期待以上にやってくれた。相手が強いとアイツは燃える」と3年生の司令塔に目を細めた。

アサヒ飲料を下し、試合終了の瞬間に初の日本一を喜ぶ関学

 関学は今季の目標にライスボウル制覇を掲げていた。84年から全日本選手権となったライスボウルは、これまで「延長戦」だった。90年代からはチーム育成に力を入れた社会人との実力差が広がっていた。日本一は手の届かない存在になっていった。

 鳥内監督は「学生がライスボウルを目標にした。本気で目指していた」と振り返った。昨年12月16日の甲子園ボウル終了後、1日だけ休んで始動。楽勝ムードのあったアサヒ飲料とは精神的に差があった。実力では劣ることを正確に把握して力勝負を避け、頭脳プレーで相手を混乱させた。

 試合後、全員で就任10年目の鳥内監督を3度胴上げした。石田主将は「監督はいつも胴上げを拒否する。今日はやろうと決めていた」。創部61年。社会人優位のスポーツ界で、周到な準備と実行力があれば、学生でも頂点に立てることを証明した。【益田一弘】



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