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1996年の甲子園ボウル

京 大 28 0-0
7-14
21-0
0-7
21 法 大

京大2年連続6度目の大学日本一

<アメリカンフットボール:甲子園ボウル>◇96年12月15日◇甲子園

 京大が2年連続6度目の大学日本一で創部50周年を飾った。前半7-14とリードされたが、二人のQBを使い分けて第3クオーター(Q)に一挙3TDを奪って逆転。第4Qの法大のゴール前1ヤードの第4ダウンギャンブルも、LB根来拓也が捨て身のタックルで止め、28-21で逃げ切った。京大は来年1月3日のライスボウル(東京ドーム)で社会人王者リクルートと日本一を争う。法大は3年連続の敗戦で、関東勢は6連敗となった。

 エンドゾーン内、逆サイドから根来は迷わず突撃した。標的は法大のNO・1、RB池場だ。池場の爆走で勢いは法大に流れかけた28-21の勝負どころ。第4Q残り4分25秒。TDされれば逆転もある場面で、守備リーダーの根来が京大魂を見せた。

 だが、池場をタックルしたまま、根来は立ち上がれない。「自爆や」。右ヒザをねん挫し、試合時間を残してグラウンドを去る悔しさに、唇をかんだまま担架で運ばれた。しかし、「死んでも止める」京大魂は伝わり、絶体絶命の窮地をしのぎ切る。京大攻撃の約2倍の421ヤードも進まれたが、エンドゾーンは譲らなかった。

 意外なほど冷静にピンチをしのいだ。「止めるんだ、とだけ思って無になれた。相手の動きもよく見えた」と、もう一人のLB安沢は2プレー前にゴール前1ヤードの池場の中央ダイブを止めた。「中央のプレーを3回止めたから、今度はオープンに振ってくるだろう」と、根来も読んでいた。ベンチの森清之コーチ(31)はTD後に2点コンバージョンを狙われた場面を想定し、準備を始めていた。「不思議なほど普通にプレーができた。焦りも全くなかった」と試合後、根来は松葉ヅエを両手に振り返った。戦国関西を、史上初の3強プレーオフを生き残った京大の貫録と自信だ。

 自信は苦戦も招いた。「もっと早くに仕掛けんとダメ。今回は守備に助けられた。攻撃は手堅くいきすぎ」と、水野弥一監督(58)は苦笑いする。今季は攻撃を看板に仕上げたが、QB杉本の足を徹底マークされて序盤は攻めあぐんだ。

 しかし、焦らずパスの田中重に切り替え、第3Qに一挙3TDを奪ってあっさり逆転。「法大のスピードに振り回されたが、守備はよく我慢して守り切った。今年ほど総合力、組織力の勝利だと感じたことはなかった」。2年連続で甲子園の空に舞った水野監督は誇らしげに言った。

 半世紀の歴史を6度目の大学日本一で締めくくり、京大黄金期はしばらく続きそうだがもう一戦。3月のハーバード大との交流戦に日本一として挑むため、今度はリクルート攻略を練る。【赤星美佐子】



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