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2000年の甲子園ボウル

法 大 28 7-7
7-0
0-14
14-0
21 関 学

法大が関学に逆転勝ち、28年ぶり単独優勝

<アメリカンフットボール:甲子園ボウル>◇00年12月17日◇甲子園

 7年連続出場の法大が、28年ぶりに単独優勝を果たした。第4Qに関学から2TDを奪い、28-21で逆転勝ち。1997年(平9)に関学と引き分けて両校優勝しており、これが3年ぶり3度目の大学王者となった。雨の中、QB井川宅朗(4年)が多彩な攻撃を展開。今年2月に他界した母節子さん(享年58)に勝利をささげ、年間最優秀選手に輝いた。大会最優秀選手は法大RB白木周作(3年)。法大は来年1月3日のライスボウル(東京ドーム)で、今日18日に行われる東京スーパーボウル、松下電工-アサヒ飲料戦の勝者と対戦する。

 エンドゾーンに転がるボールの行方を、井川は目をこらして見つめた。味方選手の腕に押さえられた瞬間、思わず両手を突き上げた。第4Q残り10分、WRのこぼしたボールをリカバーして奪った勝ち越しTD。夢にまで見た学生日本一を、手元に引き寄せた。

 今年の甲子園ボウルは92年以来の雨になった。その年、法大は敗者になった。この日は雨が味方になった。「開幕から4試合、すべて雨だった。慣れてました」。今季パス成功率69%を誇る井川の手元に、狂いはなかった。19回投げて105ヤードを獲得。昨年8回、一昨年3回というパス試投数に比べ、法大戦術の違いは明らかだった。

 「去年の甲子園で負けて、僕らのチームは始まった。ランだけでは勝てないと分かっていた」。QBがボールをだれに渡すか瞬時に判断する「オプション」というラン攻撃が、法大の最大の武器。そこに井川のパスを加え、新しいスタイルができあがっていた。

 客席にいた井川の父義朗さん(59)の胸で、遺影の母がほほえんでいた。節子さんは今年2月、井川の住む東京のマンションから誤って転落。帰らぬ人となった。あまりに突然の悲劇だった。「アメフトをやめようかと思った」。立ち直るには時間がかかった。

関学を破り、3年ぶり3度目の優勝に喜ぶ法大の選手たち

 アメフトが、家族のきずなだった。兄雅仁さん(29)が浪速高で競技を始めて以来、一家でのめり込んでいった。兄の姿を見た井川も自然と選手を目指した。両親は、息子たちの試合を観戦しているときが、一番幸せな時間だった。

 最優秀選手賞のトロフィーは、仏前にささげるつもりだ。「母が勝たせてくれたのかな」。強気な井川が、涙をこらえるように雨空を見上げた。【高宮憲治】



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