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1999年のXボウル

リクルート 18 0-0
0-7
12-0
6-9
16 鹿 島

アサヒビール、残り15秒での逆転優勝

<アメリカンフットボール:東京スーパーボウル>◇99年12月15日◇東京ドーム

 アサヒビールが残り15秒の逆転劇で、6年ぶり4度目の社会人王者に輝いた。前半は0-7とリードされたものの、第3QにRB中村友(26)が2TDランを挙げ逆転。再度リードされた終了間際、QB金岡禧友(31)からWR梶山竜誠(30)へ6ヤードの決勝TDパスが決まり、18-16で勝利をつかんだ。金岡はMVPに選出された。アサヒビールは来年1月3日のライスボウル(東京ドーム)で学生王者と日本一を争う。

 アサヒビールの選手はサイドラインで手をつないで祈っていた。胸が張り裂けそうな最後の攻撃シリーズ。QB金岡から放たれたパスは、エンドゾーンの梶山の手にしっかりと収まった。時計は残り15秒。歴史に残る逆転劇の完成だった。

 残り1分45秒、アサヒビールは相手のファンブルで攻撃権を得た。自陣11ヤードという不利な位置。「準備はできていた」という金岡の右腕に、勝利の女神が宿った。WR稲垣、TE橋詰らのターゲットに、連続6本のパスを成功させた。残り20秒、敵陣17ヤードまで迫った第4ダウンのギャンブル。右サイドの梶山に鮮やかなパスを通した。これで残り6ヤード。最終プレーのおぜん立てができた。

 金岡はあくまでも冷静だった。「2ミニッツ(最後の2分間)攻撃のイメージはできていた。必ず最後の攻撃が回ってくると信じていた」。チームのだれ1人、あきらめていなかった。全員の気持ちが、金岡に勇気を与えた。

 金岡が初めて自分の力でつかんだ栄冠だった。6年前の優勝時、エースQB東海の控えだった。その翌年から司令塔を任されたが、日本一にはなかなか届かなかった。「東海のアサヒビール」というイメージをぬぐいきれないまま、30歳を迎えていた。「今は自分のチームという実感がある」。6年間、不動のエースQBとしてアサヒビールを引っ張ってきたプライドが、勝利を呼び込んだ。

 阿部監督は「いつかあいつにタイトルを取らせてやりたいと思っていた。これが金岡、というプレーを見せてもらったよ」と感激に声を震わせた。ラストパスをつかんだ梶山は「僕と金岡と(主将の)佐々木はみんな同期。30歳すぎの選手が踏ん張りましたね」と誇らしげだった。

 前評判の不利を覆す奇跡的勝利。シルバースターは90年代最後の一戦で、まばゆいばかりの輝きを放った。【高宮憲治】



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