2年連続賞金王の今平周吾（28）が、アベ80台を目指すアマチュアゴルファーにヒントを伝授する「ゴルフステップアップ　今平周吾　賞金王の技」。元ロッテ捕手で現在本紙評論家の里崎智也氏（45）を生徒役に、今より1歩上を目指すアマチュアにアドバイスを送ります。今回はドライバー編として、強振できない里崎へのアドバイスを紹介します。（以下敬称略）

今平周吾が里崎智也氏をレッスン

ドライバーでもっと飛距離を出したい。でも、振ると曲がってしまう。多くのアマチュアゴルファーがこの二律背反の間で葛藤しているのではないだろうか。里崎もその1人だ。

里崎　振れば距離は出るけど、本当にどこにいくかわからない。ホール内にとどまったほうがいいと思って振ってないけど、振って曲がらないなら、もちろんその方がいいですよね！

里崎の自己申告飛距離は平均260ヤード。一般アマチュアゴルファーからすれば十分な飛距離だが、そこは元プロ野球選手。

里崎　ポテンシャルからしたら飛んでない。プロ野球選手とラウンドすると、ほぼセカンドオナーなんです。ホール内にとどまるなら、もう少し飛ばしたい。

今平にアドバイスを求めるべく実際に打ってもらうと、引っ掛けからのフック。

里崎　何でも言ってください。素直に受け入れるタイプなので、全部吸収します（笑い）。

今平　トップで左肩が入っていない状態からダウンスイングに入っていて、左肩が引けて右肩が前に出ています。それでアウトサイドインの軌道になっているけど、リストが強いので、つかまえてフックしていると思います。

これを解決するためのアドバイスは簡単なものだった。

今平　右足をボール1個か2個くらい後ろに引くと左肩が入りやすくなり、右側にもフトコロができてスムーズにインパクトできると思います。

アドバイスを受け、実際に放った里崎の1打は見違える弾道だった。

　

里崎　見た、今の！　ど真ん中だよ。野球はオープンスタンスなので、そっちのほうが安心感があるんですよね。ゴルフは右を向きやすいというけど、右を向いたことがない。でもそれだとスライスしちゃうから、思い切りつかまえて引っ掛けてフックしちゃうんです。

里崎のスイングだが、基本的にはアウトサイドインで持ち球はフェード。だが、スライスが出始めるとリストでつかまえて、引っ掛けからのフックが出てしまう。

今平　インサイドアウトを意識してみましょう。そのとき絶対にやってはいけないのが、フェースを開きながらテークバックすること。シャット気味でインサイドに引いていくと、ドローが強過ぎず、つかまったいい球が出ます。コツとしては、左手の甲を気持ち下に向けるような意識で始動するといいと思います。

素振りでイメージを作る里崎。わずか1分後、「やってみましょう！」と宣言して放った1打目はまだ引っ掛け。「今のは引っ張った。イメージは右中間ですよね」。再度イメージを作って打った2打目は、今平が「ナイスショット。今のイメージでいきましょう」というほどだった。

里崎が放った1打は280ヤードオーバーのドロー系。

里崎　問題はこれを忘れないこと。素直に受け入れられるけど、すぐに忘れちゃう（笑い）。身体に覚え込ませないといけないね！

　

◆里崎智也（さとざき・ともや）　1976年（昭51）5月20日、徳島県生まれ。鳴門工（現鳴門渦潮）－帝京大を経て、98年ロッテを逆指名しドラフト2位で入団。06年第1回WBCで優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。08年北京五輪出場。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。オールスター出場7度。実働15年で通算1089試合、3476打数890安打（打率2割5分6厘）、108本塁打、458打点。14年に引退、15年から本紙解説者に就任。19年には自身のYouTubeチャンネルを開設。ゴルフのスコアはアベレージ「85」。175センチ、94キロ。

◆今平周吾（いまひら・しゅうご）　1992年（平4）10月2日、埼玉県生まれ。08年埼玉栄高校1年時、松山英樹らを抑え日本ジュニアで優勝。翌年高校を中退して渡米、IMGゴルフアカデミーで2年間腕を磨く。帰国後、11年にプロ転向。チャレンジツアー賞金王の資格で出場した15年シーズンに初シード獲得。17年「関西オープン」で初優勝、現在ツアー4勝。マスターズに2年連続出場。昨年初の予選突破を果たし、イーブンパー44位タイ。165センチ、67キロ。