フジサンケイ・クラシックで通算5勝目を挙げた今平周吾（28＝ダイヤ）が、アベ80台を目指すアマチュアゴルファーにヒントを伝授する「ゴルフステップアップ　今平周吾　賞金王の技」。元ロッテ捕手で現在本紙評論家の里崎智也氏（45）を生徒役に、今より1歩上を目指すアマチュアにアドバイスを送ります。今回はアイアンショットの精度を上げるための練習方法を紹介します。（以下敬称略）

※動画はさらに高度な今平プロのレッスンです。

5日、男子ゴルフツアーのフジサンケイ・クラシックを制し、優勝杯を手に笑顔を見せる今平

国内男子ツアー屈指のショットメーカーでもある今平の神髄は「曲げない」こと。だが、これが「言うはやすく行うは難し」なのは、ゴルファーであればだれでも身に染みていることだろう。ダフリにトップ、フックにスライス。大なり小なり、左右上下のさまざまなミスが出てしまうのがゴルフでもある。今平はどのように正確なアイアンショットを手に入れたのだろうか？　その練習方法を教えてくれた。

今平　精度アップのポイントは胸とクラブの距離が変わらないようにスイングすることです。グリップエンドが常に自分の正面にあるように意識してみてください。最初は飛距離を気にせず、小さいスイングでクラブとの距離をしっかり意識して、徐々にスイングを大きくしてみてください。

胸とクラブの距離が変わらなければ、前傾角度が変わらない限り、ダフリもトップも出ようがない。早速レンジで試した里崎の感想はこうだ。

フジサンケイ・クラシック最終日、大逆転を生んだ「正確なアイアン」の極意は、胸とクラブの距離を変えない。インパクト後、目標方向に左手甲を押し出すイメージ

里崎　ライン出しのイメージですね。クラブを手で振ってしまうと距離が変わってしまうので、身体を回すイメージのほうがよさそうですね。

里崎はアドバイスを素直に聞き入れ、すぐさま結果を出す。カテゴリーこそ違うが、同じ“プロ”のすごさを見せつけた。

里崎　今平プロは小難しいことを言わないから、わかりやすいんです（笑い）。

里崎は元プロ野球選手だけあって、人一倍右手のリストが強いことから、アウトサイドイン系のスイングだが、そのまま球をつかまえ左に打ち出してしまう傾向がある。

今平　右手の角度をキープしたままインパクトし、そのまま右手を押し出すイメージか、左手の甲を目標方向に押し出していくイメージを作れるといいでしょう。イメージを作りやすいほうで練習していただければと思います。

里崎　僕は左手の甲を目標方向に出すほうがイメージを作りやすいかな。

押し出すイメージは左手でも右手でもやりやすいほうで

インパクトで手首を返してしまうタイプにとっては、この方法ならリストの返りを抑えられるはずだ。レンジで安定したショットを連発しているように見えた里崎だったが、今平はさらに付け加えた。

今平　ハンドファーストにインパクトした状態で右に振り抜くイメージだと、もっとよくなりそうです。右に打ち出すイメージでも身体は左に回転するので、真っすぐ飛んでくれます。

試してみた里崎のショットはアドバイス通りほぼ真っすぐに打ち出し、弾道的には軽いドロー系だった。

里崎　今のいい感じですね～！　あんな弾道見たことないよ。何だかうまくなった気がする（笑い）。あとは反復練習するのみですね。練習は「量より質」なんて言いますけど、技術を身に付けるには量が必要。プロ野球選手でも一流は、質の高い練習で量もこなしていますから！

今平周吾からアイアンショットを学ぶ里崎智也氏

◆今平周吾（いまひら・しゅうご）　1992年（平4）10月2日、埼玉県生まれ。08年埼玉栄高校1年の時、松山英樹らを抑えて日本ジュニアで優勝。翌年高校を中退して渡米、IMGゴルフアカデミーで2年間腕を磨く。帰国後、11年にプロ転向。チャレンジツアー賞金王の資格で出場した15年シーズンに初シード獲得。17年「関西オープン」で初優勝、現在ツアー5勝。18、19年に2年連続賞金王獲得。20－21年シーズンとなった今シーズン、3季連続を目指す。165センチ、67キロ。

◆里崎智也（さとざき・ともや）　1976年（昭51）5月20日、徳島県生まれ。鳴門工（現鳴門渦潮）－帝京大を経て、98年ロッテを逆指名しドラフト2位で入団。06年第1回WBCで優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。08年北京オリンピック（五輪）出場。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。オールスター出場7度。実働15年で通算1089試合、3476打数890安打、108本塁打、458打点。14年に引退。ゴルフのスコアはアベレージ「85」。175センチ、94キロ。