2年連続賞金王の今平周吾(28)が、アベ80台を目指すアマチュアゴルファーにヒントを伝授する「ゴルフステップアップ 今平周吾 賞金王の技」。元ロッテ捕手で本紙評論家の里崎智也氏(45)を生徒役に、今より1歩上を目指すアマチュアにアドバイスを送ります。この夏、ラウンド中にゲリラ豪雨に襲われた方も多いかもしれない。今回は雨ゴルフの注意点を紹介します。(以下敬称略)

※動画はさらに高度な今平プロのレッスンです。

今平周吾が雨ゴルフの極意を伝授
今平周吾が雨ゴルフの極意を伝授

多くのアマチュアゴルファーにとって雨は嫌な要素の筆頭と言えるだろう。夏場であれば、多少の雨は涼みにもなり得るが、これが冬となると心が折れる。レインウエアを着てのラウンドは少なからずスイングに影響も出るだろうし、平常時のスコアよりも悪くなる方が多いとも思われる。だが、1歩上を目指すゴルファーにとって、雨ゴルフもまた貴重な経験となるはず。雨ゴルフで気を付けるべきことを今平に聞いた。

今平 まず大振りをしないことが大切です。自分もコンパクトなスイングを心掛けます。大振りするとフェースでボールが滑り、曲がりの原因にもなります。

雨によって飛距離も変わる。

今平 雨の度合いによりますが、僕の場合は半番手くらい飛距離は落ちます。

この半番手がクセ者。晴れの日でも難しい番手間の距離、いわゆる“ビトウィーン”が雨というより厳しい条件で、より多く求められるのも雨ゴルフの難しさだ。今平の対策はこうだ。

今平 僕の場合、1番手上げて7割の力で打っています。

アマチュアにとっては「分かってはいるけど…」というところだ。

今平 雨ゴルフ用ではなく、アマチュアの方も普段の練習から3割、5割、7割でのスイングを練習しておくといいと思います。

里崎 フェースに雨が付くと、やっぱり飛ばないですか?

今平 フライヤーと違って飛ばなくなりますね。

雨だとフライヤーは起きない
雨だとフライヤーは起きない

フライヤーとはラフなどから打った際にフェースとボールの間に芝が挟まり、適正なスピン量を確保できず、普段よりも飛んでしまう現象のことだが、雨だとこの現象は起こらず、むしろ飛距離ロスにつながるという。

今平 芝でも水滴でもスピン量が減ることに変わりませんが、フライヤーが起こる原因にはヘッドの抜けもかかわってきます。ラフでもヘッドが抜けなければフライヤーは起きません。雨だと、少しでも手前から入ると水が抵抗になってヘッドスピードが落ち、抜けが悪くなるので飛距離が落ちてしまいます。

アマチュアにとってある意味最悪の状況と言えるのは雨の日のラフ。ただでさえ難しいのに、芝が雨を含んで重くなるのだ。

里崎 思い切り振り切るだけですよね(笑い)。

今平 確かに、ある程度しっかり振っていかないとラフに負けてしまうので、しっかり振り抜くことが大切です。

面倒でもグリップはしっかり拭いた方がいい
面倒でもグリップはしっかり拭いた方がいい

アマチュアでもすぐに実践できるアドバイスはこうだ。

今平 グリップをしっかり拭くこと。面倒でもグリップはしっかり拭いた方がいいです。あと雨ゴルフの後は、クラブの手入れも重要です。大切な道具なので、僕は全部出してしっかり拭いています。

里崎 道具は大事にしなきゃダメですよね。

野球でもゴルフでも、プロが道具を大切にするのは同じだ。

最後に里崎が今回の企画を根底から覆すような一言を放った。

里崎 現役時代はシーズンオフしかゴルフをできなかったので雨でもやりましたが、今は…。一番大切なのは、勇気ある撤退ですよ!(笑い)

顔をしかめる里崎智也氏
顔をしかめる里崎智也氏

◆今平周吾(いまひら・しゅうご)1992年(平4)10月2日、埼玉県生まれ。08年埼玉栄高校1年の時、松山英樹らを抑えて日本ジュニアで優勝。翌年高校を中退して渡米、IMGゴルフアカデミーで2年間腕を磨く。帰国後、11年にプロ転向。チャレンジツアー賞金王の資格で出場した15年シーズンに初シード獲得。17年「関西オープン」で初優勝、現在ツアー5勝。18、19年に2年連続賞金王。20-21年シーズンとなった今シーズン、3季連続を目指す。165センチ、67キロ。

雨の中ラウンドする里崎智也氏(左)と今平周吾
雨の中ラウンドする里崎智也氏(左)と今平周吾

◆里崎智也(さとざき・ともや)1976年(昭51)5月20日、徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮)-帝京大を経て、98年ロッテを逆指名しドラフト2位で入団。06年第1回WBCで優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。08年北京五輪出場。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。オールスター出場7度。実働15年で通算1089試合、3476打数890安打、108本塁打、458打点。14年に引退。ゴルフのスコアはアベレージ「85」。175センチ、94キロ。

◆取材・構成=川田和博

◆撮影=鈴木正人

◆協力=飯能グリーンCC(埼玉)