黄金世代の実力派女子プロゴルファー大里桃子（23＝伊藤園）が100切りを達成し、アベレージ90台を目指すアマチュアゴルファーにヒントを伝授する大里桃子のゴルフレッスン「『ちゃんもも先生』目指せアベ『90』台」。大里プロの技を、マネジメントを手掛けるスポーツインダストリーのゴルフスクールダイレクター新井真一プロ（58）が分かりやすく解説してくれます。今回は基本編として「スイング」について、お届けします。（以下、敬称略）

スイングをチェックする練習器具「三角先生」を膨らませる大里プロ

ゴルフスイングの基本は、肩と腕でできる三角形を崩さないことといわれる。アマチュアにありがちなのは、右利きであれば左腕が曲がってしまったり、手で振ってしまう方も見受けられる。三角形をキープするためには、両腕を伸ばす必要がある。では、なぜ三角形を維持する必要があるのだろうか。その答えとして、大里プロは「クラブが体の前から外れないこと」を挙げた。

新井　大里プロがスイングで注意していることがありますか？

大里　一番重視しているのは、スイング中にクラブが体の正面から外れないことです。それを意識して練習するために、「三角先生」という練習器具を使っています。名前の通り、肩と腕でできる三角形を崩さずに振れて、体の正面からクラブも外れなくなるので、一体感のあるスイングができます。

新井　なるほど。つまり、手でクラブを上げず、体を使って打つということに注意しているということですね。

「三角先生」をつけ、体の前で三角形をキープして7～8割のスイングを

この三角形をキープできない原因はどこにあるのだろうか？

新井　まずアマチュアゴルファーに多く見られるのが、クラブを手で振ってしまうことにあります。手で振ってしまうと、体の前からクラブが外れてしまい、曲がりの原因にもなります。また、上半身と下半身の捻転差も作れないため、飛距離ロスの原因にもなります。

つまり、「百害あって一利なし」だ。

新井　体で振れればクラブが体の前から外れなくなりますが、これを体感するのがなかなか難しいので、こういった練習器具を使うのはいいですよね。

大里　三角先生をつけたまま、7～8割くらいまでのスイングを練習場でしています。私はこれで練習することで、スイングがよくなったと思っています。

「三角先生」を装着してスイングする大里プロ

練習器具を使わずに、体の前にクラブをキープするための練習方法もある。

新井　普通に振ってしまうと、どうしても体の前にクラブがあるかどうかは分からなくなってしまうので、ゆっくり振る「スロースイング」がいいです。

始動からトップ、切り返しからダウンスイング、インパクトからフィニッシュまで、常にクラブが体の前にあることを意識しながらゆっくり振っていく練習方法だ。

新井　じっくり30秒ほどかけて振ってもらえれば、クラブの位置も意識しやすいし、体のひねりがどうなっているのかもチェックできます。これでクラブの重さを感じながら、徐々にスイングスピードを上げていくことで、クラブが体の前から外れない、理想的なスイングを手に入れることができるはずです。

「三角先生」を装着する大里プロ（左）と新井プロ

また、アマチュアゴルファーがスイングで陥りがちなのが、点で考えてしまうことだ。例えば、プロのスイングの分解写真があって、理想のトップはこの形、インパクトはこの形など、点で切り出すことだ。

新井　もちろん、その形を意識することは決して悪いことではないです。でもそれを意識するあまりにスイングリズムが崩れてしまうのもよくないです。形を過度に意識するよりは、一連の流れを意識し、リズムよく振ることを心掛けたほうが、結果的に良いスイングにつながると思います。

三角先生が手に入らない方は、スロースイングで練習してみよう！

◆大里桃子（おおさと・ももこ）1998年（平10）8月10日、熊本県南関町生まれ。8歳から父のコーチの元、ゴルフ開始。熊本国府高校時代、全国高校ゴルフ選手権団体戦で1、3年時に優勝、2年は準優勝。17年5月女子ツアー「中京テレビ・ブリヂストンレディース」でローアマ獲得。18年7月プロテスト合格。18年8月「CATレディース」で初優勝しシード権獲得。19年に伊藤園所属となり、賞金ランキング38位で2年連続シード権獲得。20－21年シーズンの21年5月「ほけんの窓口レディース」で2勝目を挙げ賞金ランキング12位。契約クラブとボールはブリヂストン、ウエアはジャックバニー、シューズはナイキ。身長171センチ、体重60キロ。血液型A。