男子国内ツアー開幕戦となった東建ホームメイト杯。最終日のギャラリー数は1年前に比べて倍増した。主催者発表では16年の4307人に対し、今年は8645人。松山英樹、石川遼だけでなく、昨年賞金ランキング1位の池田勇太、同2位の谷原秀人も米ツアーに参戦中のため不在だった。そんな状況がギャラリー数にも影響するのではないかと懸念していたこともあり、2倍増に驚かされた。

 このツアーでは新たな試みが始まった。来場者が競技終了後の選手と写真撮影できるフォトエリアが設置された。ファン目線を意識した企画だ。選手会などの提案をきっかけに実現したもので、大会直前に開催された選手会ミーティングの場でも、就任2年目の宮里優作会長が協力を呼びかけていた。

 期間中、クラブハウス前に柵で仕切られた専用スペースが設置された。選手が立つと何人ものファンが行列ができた。何人かの女性はお気に入り選手との自撮りで「ツーショット」撮影するシーンがみられた。またドライビングレンジでは動画のみの撮影も許可。ファンにとってはトップクラスのスイング動画が生撮影できる機会となり、愛好家のスマホには貴重な「教材」が残せたに違いない。

 これまで選手にプレーを専念させたい-という主催者側の意向を尊重していたが、他競技をみれば写真撮影が許可されるケースが多い。新たなファン獲得のため、日本ゴルフツアー機構と選手会が協力し、今後のツアーでも可能な限り、ファンのために「ハードル」を下げていく考えがあるようだ。

 今回の試みはギャラリー数増加につながったと思う。人気獲得は一朝一夕にはいかないが、地道な努力を続けていれば、時間の経過とともに徐々に実を結ぶものだ。今年は「親近感のあるゴルフ」という目線も意識しながら、取材を続けていきたい。【藤中栄二】


 ◆藤中栄二(ふじなか・えいじ)1970年(昭45)9月3日、長野・上田市生まれ。上田高-中大卒。93年入社。写真部-静岡支局-スポーツ部-静岡支局-東京五輪パラリンピック・スポーツ部。17年4月からゴルフ担当。