アマチュアとは思えない「発信力」に正直、驚かされました。

 14年にプロツアーで優勝した最強アマの呼び声高い勝みなみ(19)が今月14~16日のサマンサタバサ・レディースに出場した時のことです。

 まず大会前日。取材陣に囲まれると、早朝に起きた不運なエピソードを明かしてくれました。移動中、母久美さん運転の車が湿地帯にはまり、脱出までに3時間ほどかかったそうです。大変な状況にもかかわらず「そこで悪い運を全部出しました」と前向きな姿勢を強調するような笑顔。取材陣との雰囲気を盛り上げてくれました。

 大会第1日。1アンダーの4位で発進した後の取材では、母と一緒に韓国の女性グループSISTARのダンスを一緒に踊って臀部(でんぶ)を鍛えているという話を切り出しました。「温泉の大浴場やホテルの部屋でダンスして、お尻を鍛えています」と照れ笑いしながら、飛距離が伸びている要因の1つを説明していました。

 続く第2日。予選通過を決めて取材に応じた後に「見てください」と袋を取り出した。「さて何でしょう」とクイズ形式で披露した中身は、ファンから送られたという花火セットと高級な日焼け止めクリームでした。「ツイッターで欲しいと書いたら、いただきました。ありがたいです」と満面の笑みで喜んでいた。

 そしてベストアマを獲得した最終日。最終18番での1メートル強のパーパットを外してボギーとしたのがよほど悔しかったのか、なぜかパターを持参しながら取材陣の前に登場。「ラインの読み違いでしたね」。その場で素振りパッティングし、その悔しさを実に印象的にみせてくれました。毎日取材しても、話題に事欠かないアマチュア選手がいるなんて…。久しぶりの「逸材」に舌を巻きました。

 これは、まさか取材に応じる前に話題を準備しているのか? あえて、それを勝に確認すると「いやいや、何も考えていないんですよ」と苦笑い。あくまでも自然体で取材陣の質問に対応しており、天性の「発信力」なのだという。取材する側からみると、本当にありがたい存在だ。

 その勝は7月25日から富山・小杉CCで最終プロテストに挑戦します。テスト期間中も成績だけでなく、面白い話題も提供してくれそうな予感。そして20位以内を死守してプロテスト合格となれば、さらに「発信力」に磨きがかかるのではないか。そんな期待も膨らませながら、最終テストの朗報を待っているところです。【藤中栄二】