優勝した柳簫然(右)にチャンピオンブレザーを着せる前年優勝の畑岡奈紗(2018年9月30日撮影)
優勝した柳簫然(右)にチャンピオンブレザーを着せる前年優勝の畑岡奈紗(2018年9月30日撮影)

先に行われた日本女子オープンで、3連覇を目指した畑岡奈紗(19=森ビル)は、世界ランク4位(当時)だった柳蕭然(韓国)に敗れ2位に終わった。大会4日間でただ1人アンダーパーをマークし、最終日には4つスコアを伸ばした。優勝してもおかしくない成績だった。ただ、世界トップレベルの柳がいた。

20年東京オリンピック(五輪)で最大のライバルは韓国だろう。日本女子オープン後に、畑岡らも参加して韓国で行われた女子国別世界一決定戦ULインターナショナル・クラウンでも、韓国は圧勝した。柳と同じレベルの選手が、韓国にはまだ3~4人もいる。その韓国と戦うために、日本ゴルフ協会も、20年プロジェクトとして、畑岡らのサポートをしている。

日本協会の育成・強化本部のシニアディレクターで、ナショナルチームのフィジカルトレーナーを務める白木仁筑波大教授は、畑岡について「東京(五輪に)出てくる子だから、壊してはいけない。ずっとみていこうと、中学2年からサポートしています」と話す。

畑岡が日本に帰ってくると、ナショナルチームのトレーナーが、体のケアやトレーニングをみているという。「彼女は中学2年まで陸上の短距離をやっていて、ほかの子とベースが違う。100メートルを13秒台で走れるから、技術の習得も早い」という。畑岡には、週に1回ランニングの練習も課し、心拍数を130~150で保つ、ランニングを10~20本行うよう指示している。

米国ツアー本格参戦1年目の今季、畑岡が安定した力を出すようになったのも、こういったサポートのたまものだろう。白木氏は「女子ゴルフはまだ人気だけが先行しているが、やっと他のスポーツに追いついてきている。これでメダルを取ってくれれば。将来的には、バドミントンや卓球のレベルに持っていきたい」と期待を寄せた。

白木氏は、筑波大体育専門学群を卒業後に、大学院に進学し柔道整復師の資格を取得。その後にトレーナーとして、工藤公康ソフトバンク監督の現役時代を支え、長野五輪スピードスケートの清水宏保の金メダル獲得に貢献。その後も、シンクロナイズドスイミング日本代表のシドニー五輪銀メダル獲得も支えた。

今回の日本女子オープンで畑岡が最も苦しんだのは、1年間戦ってきた疲れ。それについて白木氏は「スピードスケートでも経験したが、長期間海外で戦い続けることは、日本人にとっては負担。日本にたまに帰ってきてリフレッシュすることも必要。1シーズンの中に、日本に帰るということを1つの目標として入れてもいい」とアドバイスを送っていた。【桝田朗】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)

巨人高橋由伸監督からもらったノックバットを手に笑顔の畑岡奈紗(2018年8月29日撮影)
巨人高橋由伸監督からもらったノックバットを手に笑顔の畑岡奈紗(2018年8月29日撮影)