女子ゴルフの昨季賞金ランキング7位でツアー1勝の川岸史果(24=加賀電子)が試練のシーズンを戦っている。

前週の樋口久子・三菱電機レディースで、実に約3カ月ぶりの予選通過を果たした。7月の大東建託いい部屋ネット・レディースの予選通過を最後に、1試合の棄権を挟んで10試合も予選落ちしていた。原因は、5月の中京テレビ・ブリヂストン・レディースでのドライバーヘッドの破損。それ以降、ティーショットに安定を抱えていた。男子ツアー通算6勝の川岸良兼の次女。「怪物」譲りの飛距離が1つの武器だけにスコアメークに苦しんだ。

「昨年同じクラブを使って調子が良かったので、スペアを探していなかった」と反省する川岸は6月に一時、新たに出会ったヘッドへの手応えを口にした。7月のニッポンハム・レディースは2位フィニッシュ。復調したように見えたが「壊れてから6、7月は3番ウッドで(ティーショットを)打ったり、あえてドライバーを入れずにやったコースも多かったので…」。飛距離よりもフェアウエーキープを優先してきたが、本来の姿でなければ疲労の激しい猛暑の夏場、国内メジャーが続いた秋口は、戦うことはできなかった。

この5カ月間で4、5回ほどヘッドを変更し「今のは打感とか、感覚が前のに合ってきた。今年はこのままのでいきます」という新たな“相棒”とも出会うことができた。シャフトの長さも0・25インチ長い45インチにして臨み、約3カ月ぶりにつかんだ予選通過。前週は最終順位の55位だったものの「コースに行くのが嫌だなと思った時もあった。スイングやクラブが気にかかってプレーに集中できないなんて…昨年は悩まない部分だったので」という苦しい時期を脱しつつある。

現在の賞金ランキングは58位。シード権(50位以内)の前後の順位には実力者の名が並ぶ。46位木戸愛、48位笠りつ子、49位藤田さいき、52位佐伯三貴、54位渡辺彩香、56位金田久美子、57位原江里菜。シードの常連メンバーとの激しいレースが続く。米ツアーとの共催となるTOTOジャパンクラシックは出場権がなく、シード確定まで伊藤園レディース、大王製紙エリエール・レディースの2大会が勝負となる。

開幕から優勝争いを展開した昨年の川岸は5戦目には2000万円を突破し、シード確保を確実にした。9月のマンシングウエア東海クラシックではツアー初優勝を飾った。約8215万円を稼ぎ、賞金ランキングは7位。最高な形でシーズンを終えたが、16年には4度目の挑戦でプロテストに合格し、同12月には右足のねずみ(関節内遊離体)で内視鏡の手術を受けるなど苦難を乗り越えてきた選手でもある。「QT(予選会)出場を覚悟で。ここで焦っても仕方ないので」。復調の手応えをつかみつつある川岸には、熱いエネルギーがみなぎっている。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)