日本女子プロゴルフ協会(LPGA)の新人研修セミナーが先月中旬に都内で行われた。18年のプロテストに合格した新人と、その前年にプロになった選手たちが、社会人としてのマナーや化粧、競技への心構え、会場での振る舞いなどについてプロ講師の講義を受ける研修だ。

公開日に、研修を受ける選手たちの声を聞くことができた。興味深かったのは、昨年初優勝したり、優勝争いに何度も絡んだ実力のある若手たちが、声をそろえてメンタルトレーニングの講義の印象を語ったことだった。

黄金世代でもNO・1の実力者と言われる勝みなみは、昨季、何度も優勝争いに絡みながら終盤に失速。シーズンの終盤になって優勝したが、年間を通してかなり苦しいシーズンをすごしたと思う。その勝は、プロ1年目のシーズン前に、メンタルコーチの指導を受け、シーズン中も、何度か連絡を取り合っていたという。「先生によって教え方が違うと思っていたが、メンタルトレーニングの基本は一緒だった」と、自分がやってきたことに確信が持てたようだった。

黄金世代の中で、最初にプロ初勝利を挙げた新垣比菜は「メンタルの話はすごく響きました。自分が感じているストレスは、悪いことではない。ストレスも受け入れようという気持ちになりました」。優勝こそならなかったが、一年を通じて上位で活躍した小祝さくらも「今日のメンタルの勉強は、今までにやっていなかったこと。考え方が、少しだけ変わった」と目を輝かせていた。

取材時間に制限があり、多くの選手に話をきくことができなかったが、シーズンを通じて活躍する選手は、やはり意識が違うと感じた。ゴルフ場の取材では、記者の質問に、ピンまでの距離や、使用したクラブの番手、グリーンの状況など数字を正確に答えられる選手もいれば、あいまいな笑みでごまかす選手もいる。祖母との心温まるエピソードを聞かされた後で、祖母の名前を尋ねると「えっ? いつもおばあちゃんと呼んでいるので名前は…」と答えた選手もいた。

新しいシーズンがもうすぐ始まる。今年は、どんな新しい顔に出会えるか、記者も楽しみにしている。【桝田朗】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)