全米女子ツアーが開幕した。今年、ツアー挑戦3年目を迎えた畑岡奈紗(20=森ビル)は、開幕戦となったダイヤモンドリゾーツ・チャンピオンズで16位に終わった。スコアだけを見れば、いい結果とは言えないが、内容は今年への可能性を感じさせるものだった。

単身米国へ乗り込んで奮闘した1年目。2年目は、母・博美さんが米国での生活をサポートした。そして、3年目はフロリダ州のゴルフ場内に練習場やジェットバス付きの住居を借り、活動拠点を構えた。米国で環境が少しずつ整い、昨年以上の活躍が大いに期待できると思う。

19歳で米ツアー2勝を挙げた畑岡の活躍の陰には、母・博美さん、父・仁一さんの存在がある。博美さんは、昨年から試合に全戦付き添い、食事の世話や精神面のケアに務めた。プレーについて評価を加えるのではなく、プレー態度や、気持ちの持ちようについてさりげなく声をかける。昨年9月の日本女子オープンに出場したとき「以前はうまくいかないときにクラブに当たったりしていましたけど、そういうときに直接的には言いませんけど、気持ちが前向きになるように言葉をかけたりしました」と話していた。

父・仁一さんは元陸上の選手で、畑岡が小学生のころは「将来は陸上の短距離の選手に」と夢みて、競技の手ほどきもして入れ込んでいたという。中学生になってゴルフへ進んだ際にはショックを受けたというが、その後は「できることを」とゴルフ以外のサポートに専念している。

米国出発前に、笠間市で成人式を取材したが、その際も、仁一さんは、カメラマンとして畑岡の友人たちを集めて写真を撮ったり、小まめに動き回っていた。両親との距離感が、ゴルフで結果を出す大きな力になっていると取材をして感じる。

女子ゴルフを取材していると、いろんな親子関係に出合う。口うるさい親のアドバイスを嫌そうに聞いている選手。子どものゴルフのために仕事を辞めたり、引っ越しをしたり、家族の生活がその選手1人にかかっていると思わせるような選手もいる。親との関係がうまくいかずに、力を発揮できない選手もいると聞いた。そんなゴルフ界で、畑岡親子の関係は、理想型のように見える。

勝負の3年目、ツアー優勝、メジャー制覇へ向け、今季は昨年以上の活躍ができると期待している。

【桝田朗】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)