アース・モンダミン・カップで2位に入った宮里美香(2019年6月30日撮影)
アース・モンダミン・カップで2位に入った宮里美香(2019年6月30日撮影)

黄金世代の活躍が際立つ女子ゴルフツアーで、ひそかに注目している選手がいる。今季から主戦場を米国から日本に移した宮里美香(29=NTTぷらら)だ。

09年に国内ツアーを経験せず米ツアーに飛び込んだ。今年、山口すず夏(環境ステーション)が、プロに転向してすぐに米ツアーに挑戦しているが、当時、女子では異色と言えた。3日間開催が主な日本の女子の大会とは違い、毎週のように広い米国を移動しながら4日間開催が続く。高校を卒業してすぐに、過酷な環境を強いられながらも果敢に挑み続けて、12年のセーフウェイクラシックを制するなど活躍し、申し分ない実績を積んできた。

17年に賞金シードを失い再び、選択を迫られた。日本に戻るか、それとも一線を退くのか、悩んだのは想像に難くない。もちろん、ここで身を引いても、その道程、実績を考えれば、皆がねぎらいの言葉をかけただろう。それでも、諦めず、新たな戦いに身を置く決意をした。若手と同じように、予選会に出場し、27位で通過、日本ツアー参戦にこぎつけた。

宮里は日本女子プロゴルフ協会(LPGA)の会員ではない。過去、10、13年に日本女子オープンを勝ち、会員資格を得るチャンスがあったものの、退路を断っての米ツアー参戦だっただけに登録はしなかった。そのため、今季、賞金シード権(50位以内)を取るか、優勝しないと来年のツアー出場は不透明な状況になる。1年目から厳しい現実を突きつけられたにもかかわらず、「挑戦」を止めなかった。

いきなり結果を求められる“ルーキー”年。序盤は調子が上がらなかったとはいえ、焦らず日本式のルーティンを身につけるなど日本ツアーの環境に順応することに務め、その時を待った。気温の上昇とともに、心技体がかみ合いだし、成績も徐々に上がった。6月下旬のアース・モンダミン・カップ(千葉)で今季最高の2位。賞金1580万円を獲得し、今季の獲得賞金を2800万円台に乗せ、シード権確保の約2300万円を超えた。大会後、会員登録について聞かれると、「はい、なります」と即答した。現実と真っ向から対峙(たいじ)し、再び重い扉をこじ開けてみせた姿は、単純に格好良いな、と思わせてくれた。

進む道は1つではない。紆余(うよ)曲折があっても「挑戦」がぶれなければ新たな道がひらける。「勝つこと。それだけ。シンプルに勝つこと」と、今後の目標を掲げた。米国での9年間で培った経験と技術は「いろんなショットが要求されるコースを回ってきた。自分のゴルフがまだ少しずつ変わりつつあると思うし、いろんなバリエーションは持っているつもり」と話したように、プライドとなり、自身の武器になっている。

29歳の“ルーキー”の挑戦。米国仕込みのゴルフで、日本で何を見せてくれるのか、しっかりと目に焼き付けていきたい。【松末守司】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)