ジャンルが全く違う。接点もあるわけない。それでも、聞きたくて我慢できんかった。大相撲秋場所2日目の11日。打ち出し後、帰路についた炎鵬に聞いた。

「関取より重たい女子プロゴルファーがおるねんけど」

「え? 僕より? 女の子ですよね?」。やっぱりビックリしてる。

「そうやねん。身長は同じ168センチやけど、体重100キロらしいわ」

「ちょっとすごいっすね。なんていう子ですか?」

「渋野日向子て知ってる?」

「はい、知ってますよ」

「その渋野の高校の後輩で、石川怜奈っていう子。こないだ、プロテストに合格したんよ」

「へ~」

…とまあ会話はこんだけ。だからどやねんっちゅう話なんは重々承知ですけどね。しかし、いかに炎鵬が幕内最軽量98キロやいうても、お相撲さん。しかも今や幕内1番人気と言ってもええ。「炎鵬より重い女子プロ」。こんだけで、話題性十分と思いませんか?

基本、女性に体重を聞くのはタブーです。欧米ツアーなんかオフィシャルデータで体重出しません。私も、いくらプロやいうても本人が嫌がるならしつこく聞かず、すっと引きます。ところが、石川は違った。プロテスト合格決定後、報道陣向けアンケートを記入する際、自分から担当者に「100キロって書いて、いいですかね?」と聞いてから、書いたそうな。なんと潔い。その“逸話”だけで、ホレました。

最初にゴルフを取材したんは1996年秋です。デスクや相撲担当で9年ほど途中抜けがあったけど、まあまあ長い間見てきました。その間、オフィシャルの体重で100キロと“告白”した女子プロは記憶にありません。石川が初めてです。そうですなあ、一番怪しいと思ったんは欧米両ツアー通算65勝、英国のローラ・デービースかな。もっとも彼女は身長も178センチある。体重は非公開です。

ドライバーの飛距離250ヤードの飛ばし屋で、ニックネームはポケモンの「カビゴン」から派生して「レナゴン」。明るく、笑えるしゃべりも、空気感も抜群。ただもんやない。

とてもやないけど「渋野日向子の高校の後輩」でおさまるキャラクターやないですわ、お相撲さんより重い女子プロは。【加藤裕一】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)

石川怜奈
石川怜奈