11月の担当替えでサッカーからゴルフへと職場を移した。サッカーは私自身も学生時代に経験していたので取材時も助かることがあったが、今度はほぼ経験のないゴルフ担当。飛び交う専門用語に四苦八苦しながらここ2カ月過ごしてきたが、聞き慣れた言葉もあった。

黄金世代とプラチナ(ミレニアム)世代。どうやら若手選手の台頭で盛り上がりつつある昨今の女子ゴルフ界でのキーワードらしい。サッカー界でも同様の言葉があり、黄金世代はMF小野伸二や稲本潤一、FW高原直泰らのいた79、80年生まれの選手、プラチナ世代はMF柴崎岳や伊東潤也、FW宇佐美貴史、仲川輝人ら92、93年生まれの選手たちにつけられた呼び名だ。

サッカー担当時代は両世代の選手らを取材する機会があり、私自身も92年生まれ。サッカー界のプラチナ世代と重なっていたこともあり、彼らの言葉を聞く度に何かと刺激を受けていた。同世代の選手の話を振ることもあったが、話を聞く限り、世代などを強く意識している選手はあまり多くなかった。ベテランから年下の若手まで、同じ競技をしている人間は皆ライバルであり、高め合う仲間でもある。プロとしての自負を語る彼らの言葉を聞いて「そうだよな」と納得したことを覚えている。

女子ゴルフ界ではどうなのだろうか。畑岡奈紗や渋野日向子らを筆頭とする、ある黄金世代の選手に聞くと「あんまり気にしていないですね」と似た答えが返ってきた。同い年であれば小さな頃から大会等で顔を合わせるため、当然仲が良いことも多く、お互いを応援していたりもする。だが、それ以上でもそれ以下でもないという感じだった。 加えてゴルフ界には同時期のプロテストに合格した同期というくくりもある。何度も挑戦している選手もいるため、こちらは年齢差がある。だが、同期とはセミナー等で長く同じ時間を過ごすため、むしろ同世代よりも仲良くなることもあるという。

サッカー界の黄金世代とプラチナ世代は約12年ほどの間が開いているが、女子ゴルフ界の両世代はわずか2歳差しかない。ほぼ同世代のような気もしなくもないが、選手名を覚えるためにいろいろな資料を読んでいると、確かにこの両世代には、そうくくりたくなるぐらいのタレントがそろっている。一般的に言えば、まだどちらも大学生の年代だ。人生も競技生活も始まったばかり。選手たちの世代を超えた葛藤や喜びなど、これから一生懸命伝えていきたい。【松尾幸之介】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)