自主トレでキックボクシングの華麗なキックを披露する稲見(撮影・足立雅史)
自主トレでキックボクシングの華麗なキックを披露する稲見(撮影・足立雅史)

1月下旬に女子プロゴルフで国内通算2勝の稲見萌寧(21=都築電気)の公開練習を取材した。千葉県内の自宅から練習場、ジム、そして体のケアへと通う日々のルーティンをこなし、オフ期間も黙々と強化に励む姿に感銘を受けた。

稲見と言えば19年ツアーでパーオン率1位となるなど、ショットの正確さが持ち味。本人によると、ゴルフを始めた幼い頃からショットが好きだったといい「ずっと練習していました。ついやりすぎちゃうところもあるんですけど。その時の長所をそのまま今まで持ってこれた感じです」と振り返る。

公開練習でもそうした姿勢は感じられた。午後に行われたゴルフ練習場でのショット練習。午前中にパーソナルジムで筋力トレーニングと、飛距離強化などを狙って新たに取り組むキックボクシングなどで体を追い込み「体がパンパンです」と疲労困憊(こんぱい)の様子でクラブを持った。しかし、それでも力強いスイングで快音を響かせながらボールを次々と飛ばし、ある程度打ち込むと「どれくらい打ちましょうか?」とカメラマンへ問いかけ、“撮れ高”の確認も。その時、まだ正午。報道陣から「気の済むまで」と返されると「夜7時くらいになっちゃいますけど大丈夫ですか?」と言い、笑いを誘っていた。

20年は1勝を挙げるなど結果は残したが、統合された20-21年シーズンのパーオン率は現在8位にとどまっている。この点について稲見は「クラブを変えたりして、自分の気持ちと持ち球のイメージ、体のコンディションも合わなかった」と分析を口にした。オフには最新モデルなども試し、修正に着手。「昨年はショットに気持ちが入りすぎていた。今年は自分が信じたクラブで戦いたい」。最終的に今年はアイアンなどのクラブを以前使用していたモデルへ戻して戦うことに決めた。

まだ21歳で、茨城県にある日本ウェルネススポーツ大の通信制にも通う現役女子大生でもある。ゴルフ部に籍も置いており、時間があれば部活動に顔を出すこともあるという。オフには長かった髪も約30センチカット。3月4日から始まる今年初戦の「ダイキン・オーキッド・レディース」(沖縄)まではあと約3週間を切った。「常に上を目指していく気持ちは大事だと思います」。稲見にとっての巻き返しの1年が始まる。【松尾幸之介】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)

自主トレを公開した女子ゴルフの稲見(撮影・足立雅史)
自主トレを公開した女子ゴルフの稲見(撮影・足立雅史)