小祝さくら(22=ニトリ)が、今年3戦目の「Tポイント×ENEOS」で早くも2勝を挙げた。その2戦だけで4000万円近い賞金を積み上げ、昨年と今年が統合された今季の獲得賞金は1億円を突破。そして小祝の優勝で、賞金と同様に注目を集めるようになったのが、優勝の副賞だ。今年初戦のダイキン・オーキッド・レディースを制した際には、ヤンマーのプレジャーボート「FX24EZ」が贈られた。小祝は「すごい欲しかった」と大喜びだったが、果たして全選手が喜べる賞品だろうか? もらっても困る選手はどうするのか? そんな疑問から、一風変わった副賞を贈る企業を代表して、ヤンマー広報に、さまざまな質問をぶつけてみた。

-優勝の副賞として、ボートを贈るようになったのはいつからですか?

ヤンマー広報(以下、ヤ) 1990年からダイキン・オーキッド・レディースの優勝選手に、大会そのものが行われなかった昨年を除き、毎年贈っています。ゴルフの他の大会、他のスポーツに、賞品を贈っているということはありません。ただ文化系では、農業系の論文などで入賞された学生が通う学校に、耕運機などの農業用機器を贈らせていただくことはあります。

-優勝選手の中には、ボートを贈られても管理や置き場所等に困るという方もいたのでは?

ヤ もちろん、いらっしゃいました。どなたや、過去に何人ということは言えませんが、そういった方には「賞品相当額」の金額を贈らせていただいております。

-賞品相当額は、定価の約700万円ですか?

ヤ 定価ではありません。いくらかは控えさせていただきます。

-定価の7、8割程度になるのでしょうか?

ヤ あくまで「賞品相当額」です。これ以上はちょっと…(苦笑)。

-優勝した選手が「欲しい」と言えば、船舶免許がなくても大丈夫なのですか? 乗用車で言えば「車庫証明書」のような、保管場所を証明するものも必要なのでしょうか?

ヤ 「欲しい」と言っていただける優勝選手皆さまに、贈らせていただきます。オーナーと運転される方が別というケースは多々ありますので、免許は持っていなくても構いません。車庫証明のようなものも、必要ありません。必要であれば、ボートを停泊できる場所のご紹介もしております。

-そもそも、なぜボートを贈られるのですか?

ヤ 弊社としては「ワクワクを実現できる社会」を目指しております。女子ゴルフツアーを通じて、選手の方や試合をご覧になっている方々に、少しでも「ワクワク」を感じていただければという思いからです。なので今回、小祝選手とお母さまが、すごく喜んでくださったとのことでしたので、我々も非常にうれしく思っております。

ちなみに小祝が今年の2勝で得た副賞は他に、今年初戦でダイキン製の大小エアコン、加湿と除湿機能が付いた空気清浄器、3戦目でメルセデス・ベンツの乗用車「A200d」、鹿児島県黒牛、米100俵などがある。関係者によると乗用車も、各選手の契約などの兼ね合いもあり「賞品相当額」への換金が可能なケースが一般的だという。21日の優勝会見で小祝は、メルセデス・ベンツの乗用車については「今乗っている車があるので、親戚にあげるかどうか…」と回答した。

記者が大相撲の担当をしていた時、所属力士が3人しかいなかった横綱鶴竜から、優勝の副賞でもらった豚肉を「部屋で食べきれないから」と、20キロも手渡されたことがあった。親戚や友人に配り歩いてようやく消費。ちょっと意味合いは異なるかもしれないが、今後も小祝が優勝を重ねれば、周辺では副賞をめぐって“うれしい悲鳴”を、あげるような事態が起きるかもしれない。【高田文太】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)